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北斗side
雪が降る合格発表の日。
人の一生がかかっているというのにテレビの向こうの大人は 雪で滑らないように注意しろ だなんて俺に向かって告げてくる。
俺はダウンジャケットを羽織っていつもより厚着で高校に結果を見に家を出た。
もうどうやら既に発表されている様で、駅から高校までの道を歩けば喜びながら親に電話している人もいれば、泣きながら帰路をとぼとぼと歩く人達とすれ違う。
ずっと憧れたこの高校の門をくぐり、ズラリと受験番号が並ぶ掲示板をゆっくりと見上げる。
目に飛び込んでくる自分の受験番号。
何度も何度も手元の紙と見比べるけれど、間違いはない。
合格だ。
そう確信した瞬間に、真っ先に頭に浮かぶ愛おしい人の笑顔。
今すぐ、報せたい。
1番に報告したかったのは、Aちゃんだよ...！
今すぐ伝えたくて、迷わずに俺の足は塾に向かおうとした。
すると校門に、見慣れた華奢な人影。
まさかね、なんて思いながらゆっくりと近づく。
｢...せん、せ、、、？｣
『北斗くん...』
やっぱりそれは愛おしい人で。
｢ねぇ先生、オレ受かってたよ？｣
早口でまくし立てるように話すオレに対して先生は落ち着いて聞いてくれて
『うん、おめでとう。北斗くん』
そう言ってオレが大好きなその瞳にめいいっぱいの涙を浮かべるんだ。
｢これでもうオレ、卒塾だよね？｣
『うん...』
力強く頷くと同時に綺麗に頬に涙がつたった。
｢Aちゃん、オレと付き合ってくれませんか？｣
ずっとずっと、言おうと思っていた言葉。
募る想いに負けそうになって
何度も何度も名前で呼びそうになっては飲み込んで
''先生''
そう呼ぶことで理性を抑えてた。
やっと、この日が来たんだ。
今日、君は先生じゃなくなった。
俺の言葉を最後まで黙って聞いた君は、また綺麗な涙を流して笑うんだ。
『はい』
やっと、
やっと、
君は先生じゃなくなって
俺の愛おしいカノジョになる。
この先絶対年齢の差は埋まることはないけれど、
オレはやっぱりガキなまんまだけど、
ガキでも君は俺を
愛してくれるでしょ？
END.
終わり
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作者名：Yuga | 作成日時：2019年6月23日 19時
