苦い毒を。 (ページ10)

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「じゃあ駿佑、ちょっと待っとって」

うん、という駿佑を背に実家のリビングで待たせて

明日も仕事の為泊まる用の支度を始める

リビングから駿佑と母親の声がする。

「あれ明日スーツでええんやっけ？」

と、クローゼットに手を掛けると

バサバサと音立てて落ちるアルバム。

… この間の片付けで適当にしまってもうたやつやん

はあ、と溜息をついて手に取ろうとした時に

ふと目に付く写真。

「あれ？」

恭平と、私の写真。

奥に、駿佑。

… 駿佑は確か高校ちゃうよな

文化祭の写真、偶然他校の駿佑が写りこんだ？

いや、似てるだけ …？

「 A ？」

ハッ、っと我に返り部屋のドアの方に目をやると

不思議そうな顔で駿佑が見ていた。

「凄い物音したから来たんやけど、平気？」

「あ、うん！大丈夫、平気！」

「良かった、支度出来た？」

その言葉に返事が出来なかった。

今日、駿佑の家に行っていいのか

「 A ！」

「あっ、うん、大丈夫！できた！」

… 聞けない

私は人に聞けない事が、多すぎる。

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A 変やったなあ

恭平と会ったから、かな？

会わせるんやっぱあかんかったか

全て俺の手の内やから、おもろいけど。

持ってかれるような事があるなら

その時はどちらの手段も選ばんけど …

事が上手く運び過ぎていて

笑う事しか出来ひんよ、A 。

俺の狂った愛情に着いてきて。

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