苦い毒を。 (ページ8)

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婚約者と元カレ。

なんでこう世間は狭いんやろうか？

何もここが繋がらんくてもええやん …

「改めまして、婚約者の伊月A ちゃんです」

… 婚約者ってずっしりと心にくるわ

「めっちゃ可愛ええ子やな、何処で知り合ったん？」

「ちょお、恭平口説いたらあかんよ？」

って 2人がケラケラ笑ってる。

似てるだけの同姓同名なんかな？いやちゃうやろ

「出会ったんは普通に道端やったよな」

その言葉にぎくっとする。だって、恭平と別れて暫くした頃、泥酔の私に話しかけて来た時だったから。

せやね、としか言えんかった。

「道端て、え？じゃあ駿佑がナンパしたん？」

「いやもうほぼナンパやね、A まあおもしろかってん、その時別れた人の名前言って泣いちゃってて」

「ちょ、駿佑 … 」

流石に止めに入るとゴホッってコーヒーを噎せる恭平。

何噎せてんねん …

「あ、ごめん … あの時の出会いが無かったら今こうして無いからさ」

それは、そうなんだけど。

恭平の前でも普通に出来てる。大丈夫 …なんかな

それでも冷や汗は止まらんくて、言動ひとつひとつ気を遣ってると

「あ、ごめん会社からや、」

って駿佑が電話で席を外した。

流れる時間、彼が見えない。

重い時間を破ったのは、

「 A、ほんまに結婚するん？」

って、恭平が

悲しそうな顔で此方を見つめてくる。

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仕方なく電話で外へ出たけど、2人にしたの間違いだったかな

初対面だから、では無く

初対面じゃないの俺は知ってるから。

Aの事は全部知ってんねん。

勿論恭平が元カレって事も、

… まあもう全部俺のやけどな

今更手放せられへん、

どんだけ前から Aを。

Aを見てると思っとんの？

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