苦い毒を。 (ページ5)

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Aと別れたんは、20くらいの時やったっけ？

それ位記憶が曖昧になるには忘れてたんやけどなあ

会うと全部持ってかれるわ、

お揃いのアクセサリーも写真も、捨てられへん

『まだ婚約だけ』

さっきの言葉を思い出して、尚きつくなる …

俺以外の誰かに幸せにしてもらうAを

想像なんてした事ないからなあ …

もうAと会う事なんて無いやろうし

俺がきつい3年で Aは大事な人を見つけたんか

それならそれで、もうええか。

今更奪いに行っても、もう俺要らんやろうし、

そんな事を黙々と家で考えていると

携帯に着信が入って、掛けてきたのは

「もしもし、恭平今平気？」

「おん、どないしたんそっちから電話なんて珍しいやん」

「ほんまやな！いや話したい事があってさ」

「なんそれ、俺の嬉しい話？」

「すまん、俺の嬉しい話！俺結婚すんねん、」

ぐっ、と喉が詰まるのがわかった。

世間狭いって言うても、ここが繋がるんは

有り得へんよな？

「え！めっちゃめでたいやん！」

「ありがとお、でさ俺の仲良い友達って言ったら恭平やから、良かったら会って紹介したいねんけど、」

「え～まあ相手の子がええなら … 名前なんていうん？」

「伊月A ちゃんって子やで！」

… 世間狭、有り得へんわ

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家に着いてゆっくりお風呂に浸かって、

部屋に戻ると駿佑からの着信。

… 今日はもう誰とも話したくないなあ、

と思いつつも掛け直す私。

「もしもし？」

「あ、A今ええ？」

うん、と相槌をすると

「 Aの事友達に紹介したいねんけど、来週の日曜日空いてる？」

「うん、大丈夫だよ。」

駿佑は優しい。きちんと友達に紹介してくれて、

「ほな来週の日曜日に。」

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