苦い毒を。 (ページ3)

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案の定あの後寝れなかった …

「 A、俺そろそろ仕事行くけど … 」

「ああ、うん行ってらっしゃい！」

駿佑を見送って、自分も仕事へ向かう支度をする、

通い慣れた駿佑の家、微かに私の匂いもする部屋で

カレに貰ったピアスが輝いて見える。

「行かなきゃ … 」

思い玄関の扉を開けて仕事ヘ向かう。

滞り無く職務をして、気付けば終了時間。

今日は実家でいいか … と駿佑と逆方向の地下鉄へ

" A "

… え、？

今、確かに恭平の声、

「 A！」

「しっ、駿佑！」

「丁度この辺で営業回っとった、今日は実家なん？」

「あ、うん、そうしようかなって … 」

上手く顔が見れなくて焦る …

「送っていきたいねんけどまだ仕事あるしなあ、」

「平気やで！残りも頑張ってな」

うん、と微笑んだ駿佑を後にして

帰路を進む。

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「あれ、やっぱ Aやん？」

「恭平、」

駿佑にきちんと送って貰えば

声を掛けられなかったかもしれない

地下鉄に乗り込んで暫くすると聞こえ慣れた声、

目の前には恭平。

「久し振り、元気やった？」

… こんな大都会で沢山の人が暮らしてる中

なんでこの人と会ってしまうんだろう

「元気やったよ … 」

恭平は私の右手薬指しか見てなかった。

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