鼻水 ページ31
五条side
喧嘩の後、先生に鉄拳をくらい、罰として俺らはAの部屋の修理と片付けを命じられた。
「傑、そっちできたか？」
「終わったよ、硝子からメールはきたかい？」
「あと20分で着くってよ」
「了解。よし、これをのせて完成だ！」
「おぉー！うまそう！食っていい？」
「ダメに決まってるだろう。これはAのだ」
俺らは、午前中には部屋の修理を終え、午後は任務をこなし、夕方からあるサプライズの用意をしている。
寮の台所で傑は料理を作り、俺は食堂を飾り付ける。
準備がバレないように、その間、硝子はAと外出するという手筈だ。
「「ただいまー」」
Aと硝子が帰ってきた。
傑と顔を見合わせると、クラッカーを手に握り、Aが来るのを待つ。
Aが扉の前で止まる。
「あ、扉閉まってる…」
「A、一緒に開けよっか」
硝子が声をかけると扉がゆっくりと開く。
3、2、1
「「ハッピーバースデイ！A！！」」
クラッカーがパンパンと鳴る。
Aは驚いたように目を見開いて、しばらく固まっていた。
だんだんと目に涙がたまる。
そして、ついに声を上げて泣き始めてしまった。
「おい、おい大丈夫かよ！？」
声をかけると、Aは俺に抱きついてきた。
「お前の誕生日祝えてないままだったろ？お前に喜んでもらおうと思ってさ。だからもう泣き止め。」
「泣いて、ない、し」
「それは無理があるだろ！」
「…嬉しかっ、た、あり、がと」
「おう、そりゃーよかった」
「料理が冷める前に食べよう。私がケーキも作ったからね」
「私が買って来たピザもあるよー」
たまにはこういうのも悪くないなと思った。
あいつが誕生日を心から喜べるようになるまで何回でも祝ってやろう。
トントンとAが俺を呼ぶ。
「なんだよ」
「ごめん、悟。僕の鼻水で悟の服、ぐしょぐしょになった。」
「おぉい！」
前言撤回…かもしれない。
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作者名：高菜明太子 | 作成日時：2022年9月17日 21時
