目覚 ページ26
篠崎side
白い天上。
消毒液の匂い。
腕を見れば針が刺さっていて、管が通っていた。
あぁ、点滴か。
てことは病院?
体が少しも動かせないし、力を入れようとすると鋭い痛みが走った。なんでだろうと疑問に思っていると、誰かがガラガラと扉を開けて入って来る。
「あー、起きた?」
綺麗なお姉さん。
ちょっとタバコ臭い。
大人かと思ったけど、制服?みたいなのを着てるから高校生か。
高校生ってタバコ吸ってよかったっけ?
そんなことを考えていると、何やら僕に喋りかけている。
「ボク、名前言える?おーい、聞こえてる?」
「篠崎A…」
「よしよし、意識はハッキリしてんね」
「何があったか思い出せる?」
そう言われて、僕は記憶を手繰り寄せる。
なんで、ここに来たんだっけ?
サッカーして、家に帰って、それから……
急に記憶がフラッシュバックする。
頭が、気持ちがついていけてないのに、映像が流れ込んでくる。
「はぁっ、はぁっ」
息が苦しい。涙が溢れて止まらない。
僕がパニックになってると、近くにいたお姉さんが、僕をさすりながら、呼吸を促してくれる。
「ゆっくり吸って、、、吐いて、、、そうそう」
「辛かったよな」
窓の外を見れば真っ暗な夜空。
僕は眠れなかったけれど、ずっとこの人がそばにいてくれた。
42人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:高菜明太子 | 作成日時:2022年9月17日 21時