出会 ページ24
夏油side
「もう何分歩いてんだ?」
悟がそう言って苛立ち始めた。歩いても歩いても、同じ廊下が続くばかり、無理もない。
「軽く30分は歩いてるね。空間系の術かな」
「あ゛ー!めんどくせぇ!傑、ぶっ壊すぞ」
「了解」
悟の合図と同時に呪力を高める。
「術式順転 蒼」
「虹龍、壊せ」
ズガァァァン‼︎
容易に術は解けた。廊下から、広い部屋に移動していた。部屋のちょうど、ど真ん中に誰かいる。
ゆっくり警戒しながら進む。
そこにいたのは小さく、儚げな少年。
何故だか目が逸らせなかった。
少年の周りには血溜まりができ、人であっただろうものが転がっていた。少年の目には生気がなく、代わりにその中からは異様な存在が感じ取れた。
「やばそうなやつだねえ」
「おい、これお前がやったのかよ」
少年が声に反応して、答える。
「ここに入れるなんて面白い人間だね」
「てめえは誰だよ」
「僕は篠崎聖。8歳」
「受肉体の自己紹介は聞いてねえよ。お前だよ。」
「フフフ、やっぱりわかるんだね。僕はルミナス。この子が気に入ったから祝福を授けたんだ。」
「ルミナスってどっかで聞いたことあるような……」
「もしかすると、あのルミナス神じゃないのかい?悟。」
「そう!大正解!」
その少年は嬉しそうに、そして楽しそうに年齢にそぐわない嫌な笑みを浮かべて、私達を見ていた。
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作者名:高菜明太子 | 作成日時:2022年9月17日 21時