【wrwrd!】君の主役は我々だ！【短編集】 (ページ4)

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本の天使と少年は em ページ4

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(外国パロ世界線です)

ぽかぽかとした温かい日差しが窓から洩れ、どこか眠気を誘う時間帯。

世界中にありふれている景観と構造をした、この街でたった一つの図書館。
その中では少年が一人、司書専用の椅子に座りながら本を読んでいた。

彼の家系は代々この図書館の管理をしており、現在正式な管理人は彼の父親にあたる。
しかし、今日は外出予定があったため、息子が一日司書として働いているのだった。

賑わった街とは打って変わって館内は閑散とした、心の落ち着く居場所である。

一秒毎に動く秒針と、少年が偶に本のページを捲る時に鳴らす音以外、辺りは静寂に覆われていた。

『あれ、いつもの司書さんじゃないの？』

扉を開く音と共に、幼い男の子の声が静かな館内に漂う。
男の子は8歳程度であろうか。黒にも赤にも近い茶髪と、髪の間から覗く色素の薄い黄緑色の瞳。

少年は本を閉じ、初対面の相手への好奇心を抑えながら、平常心を装い応対する。

「利用者の方ですか？手続きをしますのでこちらへどうぞ」

男の子はおずおずといった表情と足取りで、司書机の方へ向かう。
少年が貸し出し人の書かれた冊子を机の中から探っている間、薄らと透き通った目を輝かせながら、男の子が口を開いた。

『本が、好きなの？』

机上に置かれた様々なジャンルの複数の本を目にしてか、覚束ない口調で放たれた言葉。

「我が家は代々、この図書館の管理をやってまして…
その影響もあって、小さい頃から本に触れてきたので…。

大好きですね」

『じゃあ、ぼくといっしょだね』
二人の少年は、それぞれ年相応の笑みを相手に見せた。

『ぼくの名前はA。ねえ、ぼくと友だちになってよ！』

「私はエーミールと申します。私でいいのなら、喜んで」

エーミールと名乗った少年は、男の子─Aよりも4歳程度年上と見られる自身の年齢よりもずっと上の顔をして、顎に指を当て小さく微笑んだ。