蜘蛛と蝶 ページ6
「あらあらまあまあ」
後ろから優しそうな声が聞こえる。
「あなた、とっても強いんですね〜!蝶の鬼さんですか?奇遇ですね、わたしも蝶のようだとよく言われるんです〜」
「へえ、そうなの?確かに、髪飾りも羽織も蝶のようね。とっても素敵。優しそうで優雅なあなたにぴったりね。」
「ありがとうございます。にしても、話しながら、わたしと戦えるだなんてすごいです!」
「その言葉、そっくりそのまま返してあげるわ。」
「そうですか」
蝶のような女が交わす相手を称える会話。
しかし、全て戦いながらなのだ。
わたしの蝶を彷彿とさせる西洋風の杖と彼女の紫の刀が金属の音を立てる。
「ねえ、あなた、名前はなんというのですか?」
「Aよ。あなたの名前は?」
「胡蝶しのぶといいます。あの、Aさん、仲良くしません?」
「そうねえ。そうしたいけど、無理なんじゃない?わたしは鬼であなたは人間。きっと、分かり合うことはないのよ。」
「そうですか?」
「ええ。だってあなた、鬼が憎いでしょう?前童磨が食ったといっていた女の子の妹でしょう?あいつが可愛かったって言ってたわよ。嬉しくないでしょうけど。」
「そうですね…。あまり、嬉しくありません。あの男はこの世で一番憎いので。」
「そうでしょうね。だから、あいつと同じ鬼であるわたしも嫌いでしょう。」
「…」
「あら、息が続かない?」
「ッ!!」
「敵に弱っているところをみせては殺されちゃうわよ、しのぶさん。こんな風に、ね?」
わたしの杖が彼女の肺を貫く。
「カハッ…!?」
「ごめんなさいね。わたしはやっぱり人喰い鬼なの。」
そのまま彼女を蹴り飛ばす。
彼女は少し離れた木に背中を打ち付け、完全に息絶える。
「姉妹揃って、鬼に殺されるなんて、可哀想。来世は幸せだといいわね。」
「姉さん、何してるの?また、同情?」
上から累の声がする。
同情、とはまた少し、違うかしら。
「ちょっと違うかな。まあ、いずれはっきりするわ。」
「そう」
光る月よ。
どうか、憐れな夜の星たちの光を、隠さないで頂戴。
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わらび@修行中(プロフ) - AYAさん» コメントありがとうございます!遊郭編ですか…前向きに考えてみます~! (2021年10月7日 17時) (レス) @page7 id: 282917b86f (このIDを非表示/違反報告)
AYA - 凄く面白かったです! 遊郭編も描いて欲しいです! (2021年10月6日 18時) (レス) @page9 id: 23da1d9ffa (このIDを非表示/違反報告)
わらび@修行中(プロフ) - 莉亜さん» わぁ~!ありがとうございます!!書きます!!全力で書かせていただきます!! (2020年11月15日 21時) (レス) id: 282917b86f (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - 完結おめでとうございます!この後の後日編?みたいな感じ見てみたいです!もしよろしければお願いします (2020年11月15日 19時) (レス) id: f021d660fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらび | 作成日時:2020年10月29日 19時