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蜘蛛と蝶 ページ5

「お前も鬼か」

「ええ。あなたの敵よ。」

青い瞳の彼の刀を手のひらで止める。

刀に彫られた"悪鬼殲滅"の文字からして、目の前の彼は柱。

「男の方と違って只者じゃないな、女の方は。」

「まあね。伊達に十二鬼月の姉をやってはいないわ。」

にこりと笑ってみせる。

そして

「…ッ!!」

「残念、あとちょっとで殺せたのに」

青年は首に迫る累の糸に気付き、あと少しで避ける。

「あらあら、なかなか強い剣士のようね。流石柱、ってところかしら。」

「本当に。すばしこくって嫌になる。」

「まあ、累の方がすごいじゃない。」

「姉さんこそ。」

「…お前たち…意味が、分からない。」

こちらを鋭くも怪訝そうな目で見てくる彼。

きっとわたしたちが兄弟として振る舞うからだろう。

そして、わたしたちの後ろに続々と鬼が集まって来たから、余計に。

りんとすず、もう二人の男の蜘蛛のような異形の鬼。

体が蜘蛛の方がよい。

もう一人がたき。

鬼は普通、群れないもの。

あの方にのみ従うもの。

けど、

「後ろの鬼はわたしの血鬼術にかかっているの。累は家族だから、一緒に居るのが当たり前よ。」

「…」

そう、わたしたちは家族。

そこに血の繋がりは無くても、心に確かな絆がある。

「家族ごっこか、下らん」

そういって大きく踏み込んだ彼がわたしに刃を向ける。

しかし、その刃は届かない。

「ごめんなさい。わたしはもうそこにはいないのよ。」

「あはは!姉さんの幻惑はどうだ?」

「なっ!!」

わたしたちは彼の後ろにいて、彼の刀は空を切る。

代わりに累の糸が彼の首をきれいに跳ね、すずが毬状の糸のなかに閉じ込める。

「可哀想に。那田蜘蛛山に入るから。わたしたちを邪魔しようとするから。」

「僕たちを邪魔しようとするこいつらが悪いんだよ。姉さん、同情なんてしなくていいんだからね。」

「そうね、確かにその通りよ。」

その途端、雷鳴と共に軽くしゃがんだ累の頭上を金髪の青年がすり抜けて行く。

「なに、こいつ。はやすぎない?」

「それだけ、鍛練を積んだのでしょう。」

「ふーん」

そういって累が大きく手を振り、彼に糸を放つ。

そして、やはりそこから出てきた彼をわたしの蝶が襲う。

「血鬼術 命吸いの蝶蝶」

「ッ!!」

一瞬にして、彼の生気は吸いとられ、ばたんと後ろに倒れる。

「ああ、哀れね、人って。」

こんな脆くて、小さな体で、鬼と戦わなくてはいけないなど、とても哀れだ。

蜘蛛と蝶→←蜘蛛と蝶



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わらび@修行中(プロフ) - AYAさん» コメントありがとうございます!遊郭編ですか…前向きに考えてみます~! (2021年10月7日 17時) (レス) @page7 id: 282917b86f (このIDを非表示/違反報告)
AYA - 凄く面白かったです!  遊郭編も描いて欲しいです! (2021年10月6日 18時) (レス) @page9 id: 23da1d9ffa (このIDを非表示/違反報告)
わらび@修行中(プロフ) - 莉亜さん» わぁ~!ありがとうございます!!書きます!!全力で書かせていただきます!! (2020年11月15日 21時) (レス) id: 282917b86f (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - 完結おめでとうございます!この後の後日編?みたいな感じ見てみたいです!もしよろしければお願いします (2020年11月15日 19時) (レス) id: f021d660fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わらび | 作成日時:2020年10月29日 19時

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