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「…燃やしましょうか?」
「え、何を?」
「そりゃあ学校ですよ。学校が燃やして先輩が喜ぶならオレが燃やします。」
至って普通の顔で私を見ながらそう言い切った渡会くんの言葉を飲み込めずに少しの間動きを止める。
学校を燃やす?
そんなことが、本当にできるわけ…。
「どうしたの、急に何言って…。」
「先輩、オレ本気です。先輩が望むならそのくらいなんてことないです。」
はっきりそう言った渡会くんと視線がぶつかる。
なんで、別に私は渡会くんにとってただの先輩なはずなのに、どうしてそんな風に思えるんだ。
「なんでって顔してます、先輩。聞きたいですか、なんでオレがこんなに先輩に憧れてるのか。」
いつも通りの人懐っこい表情を浮かべた渡会くんの言葉に小さく頷く。
怖いけど知りたい。
どうして彼がそんな目で私を見るのか。
まるで敬虔な信者が神を見るような、心酔したような目で私を見るのか。
「新入生歓迎公演での先輩の歌が、すごく好きで、ステージでマイクを握る先輩がキラキラしてて。目が離せなくて、オレも先輩みたいになりたいって思って。先輩、オレに教えてください。歌い方も、勉強の仕方も、先輩の知ってること全部。先輩の見てるもの、感じてるものの全てをオレにも教えてください。オレ、先輩みたいになりたいんです。先輩の言うことならなんでも聞きます。だからオレになんでも言ってください。先輩、大好きです。」
恋情とはまた違った「大好き」の言葉に頭が混乱する。
真っ直ぐな視線は確かに私だけを映していて、澄んだ瞳に映る私は怯えと混乱が混ざったような、言葉にし難い表情を浮かべていた。
天性の声質も弛まぬ努力による歌唱力も持つ渡会くんに憧れられる程の力が私にあるとは思えないし、もし彼が私の歌を好きでいてくれたとして、そこから私の全てを知りたいと思う理由も分からない。
誤魔化すように私は、まだこちらを見る瞳から目を逸らした。
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VOLTAいいですね…捗ります… byわらび
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ソルト(新アカVer)(プロフ) - わらび@修行中さん» ありがとうございます! (1月7日 20時) (レス) id: 8a1efc3bda (このIDを非表示/違反報告)
わらび@修行中(プロフ) - ソルト(新アカVer)さん» コメント、リクエストありがとうございます!初書きになるので少しお時間頂くかもしれませんが、精一杯書かせて頂きます〜! (1月7日 19時) (レス) id: fb962cb273 (このIDを非表示/違反報告)
ソルト(新アカVer)(プロフ) - コメント失礼します 好きです Olv 崇拝 同業者(できればライバーで 無理なら 教職系) をリクエストすることは可能でしょうか?負担になるようでしたら、削除していただいて構いません (1月7日 17時) (レス) id: 8a1efc3bda (このIDを非表示/違反報告)
わらび@修行中(プロフ) - いえいえ大丈夫ですよ!占ツクはIDを見れば分かりますからね〜!お気になさらず!w (2023年4月3日 22時) (レス) id: fb962cb273 (このIDを非表示/違反報告)
えある。 - わらび@修行中さん» あwすみません名前違った... (2023年4月3日 22時) (レス) @page4 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらび | 作成日時:2022年9月13日 18時