◇ ページ22
「なんでこのタイミングで出す物がオレンジジュースなんだよ、しかも紙パックのやつじゃねーか。」
「長尾それ好きじゃん。文句あるならコーヒーにするよ?」
「うわぁ⁉︎飲む!飲むからおれのオレンジジュースをコーヒーとすり替えようとすな!」
急いでオレンジジュースにストローを指して飲み始めた長尾を眺める。
家に来た時は元気がなかったから、いつもの調子を取り戻してくれたようで何よりだ。
とりあえず長尾繋がりで交流のある甲斐田さんと弦月さんに連絡用の札を飛ばしておく。
私はよく知らないがこの三人は現世で何やら面白いことをしてるらしい。
「なぁ、A。」
「ん?なに、長尾。」
「お前はおれを遺して死なないよな?」
冷たくも縋るような調子の長尾の声に短く溜息を吐いた。
冷酷だと謳われる長尾家の長男である長尾景が仲の良い禍祓の同級生を心の拠り所にしているだなんて、他の誰が思うのだろうか。
きっとここで私が「分かんない」と言えば彼は泣きながら怒鳴り散らすんだろうなぁ。
もし私が任務で失敗して大怪我でもしたらまるでそれが自分のミスのせいだと言わんばかりに、自分自身を責めて、もうこんなことがないようにって、私を禍祓の教師にでもするのだろう。
長尾はなんでも自分のせいにしたがるし、自分の周囲の人間を守ることで自分に価値を見出すところがあるから。
「大丈夫だよ。私は前線で戦う長尾とか酒井と違って術式での後方支援が主だから。」
大嘘だ。
なんなら神を見る力がある私は官吏達と一緒に祟り神の邪気を祓う極秘任務にも行っているし、祟り神を相手にする任務の危険は計り知れない。
目の前で同行していた官吏の頭部が祟り神に握り潰されるところを見たこともある。
生まれつきの豪運でここまでどうにかなっているが、いつ私が死ぬかなんて分からないし、祟り神に殺されれば、死体が戻ってくる可能性は低い。
以前殺された官吏の遺体も、邪気が残留しているといけないとの理由で秘密裏に処理され、遺族の手に渡ったのは遺骨だけだった。
私の言葉に顔を歪めた長尾が重い口を開く。
「…お前、弦月と任務行ったんだろ。極秘のやつ。」
「…なんで、長尾が知ってるの?」
「そんな危ない任務に行って死んだらどうすんだよ!お前も弦月も何考えてんだ⁉︎祟り神の邪気を祓うだなんて、そんな危険な仕事あるかよ!神の機嫌を損ねなくても、邪気に侵されて死んだらどうすんだ⁉︎死んでも遺体すら戻って来ねえんだぞ⁉︎」
862人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソルト(新アカVer)(プロフ) - わらび@修行中さん» ありがとうございます! (1月7日 20時) (レス) id: 8a1efc3bda (このIDを非表示/違反報告)
わらび@修行中(プロフ) - ソルト(新アカVer)さん» コメント、リクエストありがとうございます!初書きになるので少しお時間頂くかもしれませんが、精一杯書かせて頂きます〜! (1月7日 19時) (レス) id: fb962cb273 (このIDを非表示/違反報告)
ソルト(新アカVer)(プロフ) - コメント失礼します 好きです Olv 崇拝 同業者(できればライバーで 無理なら 教職系) をリクエストすることは可能でしょうか?負担になるようでしたら、削除していただいて構いません (1月7日 17時) (レス) id: 8a1efc3bda (このIDを非表示/違反報告)
わらび@修行中(プロフ) - いえいえ大丈夫ですよ!占ツクはIDを見れば分かりますからね〜!お気になさらず!w (2023年4月3日 22時) (レス) id: fb962cb273 (このIDを非表示/違反報告)
えある。 - わらび@修行中さん» あwすみません名前違った... (2023年4月3日 22時) (レス) @page4 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わらび | 作成日時:2022年9月13日 18時