執着、同僚、ngo ページ21
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桜魔は物騒な世界だ。
私が親の遺した借金の返済のために戦闘職をしているからというのもあるだろうが、この桜魔皇国において、死というのはそう非日常の話ではないのだ。
なんて思いながら今日の任務で使った刀の手入れをしていると、ドアが叩かれる音がした。
一体こんな夜更けに何の用だ、と思いながら小さくドアを開けると、禍祓時代からの付き合いである長尾景がいた。
長尾が着ているのは普段の任務で見慣れた隊服ではなく緩いパーカーで、いつものようにまとめられていない髪は少し湿っているようだ。
風呂上がりにわざわざ私の家まで何のようだ、と少し考えて一つの可能性に行き着く。
虚な目で下を向く彼の姿に事情を察して、家の中に招くと、長尾は何も言わずに靴を乱雑に脱ぎ捨てて居間にあった座布団のうちの一つにあぐらをかいた。
「…酒井が死んだ。」
長尾の口から溢れた言葉は、予想していた通りの最悪な知らせだった。
酒井という男は、同級生の祓魔師コースの数名で組まされる、実践訓練で行動を共にする六人組で私や長尾と同じ組だったやつだ。
六人のうち、一人は卒業してすぐの大型任務で事実上の特攻部隊に配属されて死んだ
死んだ同期の後を追ってもう一人は首を吊った。
その次に死んだやつは、数年経ってから殉職した。
「酒井、なんで死んだの?」
「任務先でアイツが立て直すために戦線離脱しようとした時に避難に遅れて子供が近くにいて、襲われそうになってたらしい。酒井はその子供を庇って死んだ。」
「…酒井らしいね。無駄に正義感が強くて真っ直ぐなとこ。」
長尾の言葉に耳を傾けて、思ったことをそのまま口から溢す。
任務中は完全に効率重視の動き方をする長尾と己の正義感に則って動く酒井は、禍祓でもよくぶつかっていた。
口論する二人がヒートアップして殴り合いを始める前に私や他の同期で止めて、というのが大体の流れだったっけ。
懐かしいなぁ、と思いながら長尾の前に紙パックのオレンジジュースを置くと、長尾がポカンという顔をしたあとに吹き出した。
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ソルト(新アカVer)(プロフ) - わらび@修行中さん» ありがとうございます! (1月7日 20時) (レス) id: 8a1efc3bda (このIDを非表示/違反報告)
わらび@修行中(プロフ) - ソルト(新アカVer)さん» コメント、リクエストありがとうございます!初書きになるので少しお時間頂くかもしれませんが、精一杯書かせて頂きます〜! (1月7日 19時) (レス) id: fb962cb273 (このIDを非表示/違反報告)
ソルト(新アカVer)(プロフ) - コメント失礼します 好きです Olv 崇拝 同業者(できればライバーで 無理なら 教職系) をリクエストすることは可能でしょうか?負担になるようでしたら、削除していただいて構いません (1月7日 17時) (レス) id: 8a1efc3bda (このIDを非表示/違反報告)
わらび@修行中(プロフ) - いえいえ大丈夫ですよ!占ツクはIDを見れば分かりますからね〜!お気になさらず!w (2023年4月3日 22時) (レス) id: fb962cb273 (このIDを非表示/違反報告)
えある。 - わらび@修行中さん» あwすみません名前違った... (2023年4月3日 22時) (レス) @page4 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらび | 作成日時:2022年9月13日 18時