綺麗なもの ページ7
、
文庫本片手に登校していると、後ろから声をかけられた。
「Aじゃん。元気?」
「あ、そらる先輩。まぁ、相変わらずって感じです。」
「ふーん。ま、なんでもいいや。」
「うーわ、ひっど。」
軽口も叩きながら適当に会話する。
そらる先輩は中学の先輩。
家が近所だったせいかちょっと気にかけてくれる節がある。
まぁ、親同士がすごく仲良くて小さい頃に遊んでくれてたからってのもあるけどね。
「あ、委員会とか部活は?」
「部活はまだですよ。委員会は図書です。」
「本当に相変わらずじゃん。てか、なんで敬語なの?」
「一年くらい話してなかったから距離感見失ったんですよ。」
適当に誤魔化して、話題をすり替えたりしながら登校し、校門で別れる。
…にしても本当に相手を見る人だから話しにくいな。
教室でも適当に挨拶をして、仲良くなった子と雑談したりして、ホームルームがあって、授業があって、いつのにか一日が終わって。
「あ、図書室行こっと」
そう思い、フラーっと図書室に向かう。
そっと扉を開けて、中を覗くと、カウンターには昨日と同じように浦田センパイが資料とにらめっこしていた。
「浦田センパイ、お疲れ様です。」
「おー、A。おつかれー。」
挨拶を交わして、そのまま本棚に向かう。
少しずつ本を出したりして昨日考えた並べ順通りに並べていけば、少しずつ綺麗になっていく。
順調に進めていけば、ふいに後ろから肩を叩かれた。
「うわっ、て、浦田センパイ。」
「おわった?」
「ある程度は。」
「じゃあ、閉めるから。」
手早く荷物をまとめて浦田センパイの後について図書室を出る。
「じゃ、また。」
「はーい。」
鍵を返しに行く浦田センパイと別れ、靴箱に向かっていると、わたしの隣のクラスから謎の声が聞こえてきた。
「…から!やめ……!…いわ…!」
「…って!す…から!…どい…!」
…痴話喧嘩かな?
にしては片方が確実に嫌がってるし…というかこの教室の鍵も返さなきゃでしょ、絶対。
仕方ないなぁ、と思い、ドアをノックして開けた。
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わらび@修行中(プロフ) - めめろんさん» ありがとうございますー!しれっと掛け持ち増やしやがってるわらびです()罪なのに止められない…っ!これからもよろしくおねがいします~ (2021年2月23日 8時) (レス) id: 1fe436b7f8 (このIDを非表示/違反報告)
めめろん(プロフ) - はっっっ、ランキングに面白そうな題名の作品が入ってると思ってみたらまさかわらびさんのでしたか……。流石です。そしてコメント一番乗りぃぃぃぃ (2021年2月23日 0時) (レス) id: 88927288ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらび | 作成日時:2020年11月14日 14時