【ヘタリア】少女と国達の短編集*５*

君と俺が愛し合うということは（伊）切甘 ページ3

昔、枢軸の仲間を描いたとき。
繊細で淡く、優しい色の中に男らしい強さもあって、綺麗。まるでイタリアみたい、と褒めてくれた。

「ね、昔褒めてくれたよね、俺の絵」

「うん、本当に綺麗だな、凄いなって思って正直に褒めたよ」

「…ありがとう」

最後の色を丁寧においた。






「…よし！できたよ！」

「見せて見せて！」



俺の好きな花…デイジーの花畑の中で、花冠を被って無邪気に笑う君の姿

「あはは！こう見ると私ってホント子供ね！」

そう言いながら、目を逸らさずまじまじと見ている。

「…ねぇ、気に入ってくれた？」

「…気に入るも何も、今までで最高傑作じゃない！それに、愛する人が描いてくれた絵を好きになるのは当然なのよ

…ありがとう。最後に私を描いてくれて」

「俺こそAに会えて良かったよ！」

「…よかった。元気なイタリアだ。私は、元気なイタリアが大好き。

…だから…真実から目を背けないで、好きなものを否定しないで？」

「…ん、わかった」

強く手を握った。きっとこのままAは消えてしまう。だからその前に一度だけ

「ねぇ、A、キスしよう。ハグもしよう。昔してたじゃん！寝る前も会議行く前もおはようも、ね？」

「…ぷっ、焦ってる。平気、私は簡単に消えるほどヤワじゃないよ。キスとハグぐらい何回でも」

言葉を聞き終わる前に抱きついてキスをした。

飽きるほどしたキス。最後とわかっているキスは苦い



…二度と離したくない。お別れしたくない。やっぱ寂しいよ…

「…ん！ん゛〜！…っぷはっ…ゼェ、ゼェ…」

「ご、ごめん…大丈夫？」

「大丈夫、久しぶりなのにアツイねぇ…」

結構長くしてたみたいだった。

「ね、もう一回…」

再び見たその時にはAは居なくて、暖かい日差しが部屋を包んでいた。

絵の具はもう乾いていて、取り敢えずイーゼルを変えようと後ろを見た。その下に、さっき描いた絵と同じ絵があった。
無邪気な笑顔のAがいた。

俺が探してた物が、こんなに近くにあった。
周りを見れば、格好や風景は違うものの、全て笑顔の君、君、君。

「──…俺は、何を怖がってたんだろう」

──『真実から目を背けないで』

『好きな物を否定しないで』───


…そういうことか。俺が元気がなかったから来てくれたんだ。


…またドイツに呆れられちゃうなぁ。









でも…ありがとう、A。

それなりの覚悟を忘れないように（伊）切甘→←人と国が愛し合うということは（伊）切甘

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