他で埋めるのも手です ページ5
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『角名が振られたって本当?』
「え?」
授業間の休み時間中。そんな噂を耳にした私は隣の席でスマホをいじる角名に聞いてみた。そんな角名は「何言ってるの?」と不思議そうな顔でこちらを見る。
『え、だってみんな言ってたよ。角名が盛大に振られたって』
「……なぁ、それってもしかして、」
『え、なになに。治くん!知ってるの?』
「いや、知っとるも何も…」
前に座っていた治くんは「角名、」と少し気まずそうに私の隣へ視線をやる。
うん?どういう事?頭の上にはてなマークを浮かべる私に対して、角名も治くんの言いたい事が分かったのか「そういう事ね」なんて笑う。
いや待って、どうして話題を出した私が置いてかれてるのよ?
『とりあえず治くんの反応的に、角名が振られたのは本当だったって事か』
「いや、まあ、随分と捻じ曲がって噂されてるみたいだけど」
『角名でも振られるんだねぇ。まあそういう時もあるよね。あ、ほら、時間が忘れさせてくれるとは聞くけど実際はどうなんだろう…』
笑みを浮かべながらもどこか不満げな角名に構わず、『ほらほら!』と私は笑みを浮かべる。
『あれは?他の女で寂しさを埋めるとかっていう手も…』
「いやそれは却下」
『えー…角名なら誘った瞬間即OKでしょうに』
「いや実際ついこの前、彼女にならないかって提案断られたばっかりなんだけどね」
『ふーん』
まあでも角名がそう言うなら仕方ないか。無理強いする事でもないし。仕方ない。
「Aって意外と、アレよな」
『うん?アレとは?』
「アホ」
『治くん!?角名!?なんて事を!!私これでも頭は良いんです!!』
「ほら、そういうとこ」
『は!?』
意味が分からない。傷心中の角名には少しだけ優しくしてあげようかなとか思ってたのに!
『じゃあもういいもんね、せっかく角名の為にこれ買って来てあげたのに』
鞄の中からいちごミルクを取り出して見せる。
「何で?慰め?」
『もちろん!私優しいから!』
「優しい人は自分で言いません」
『ぐっ…!!確かに…!!』
角名の言葉に唇を噛み締めた私は本当はもうあげるつもりは無かったのに「ほら、仕方ないから貰ってあげるよ」なんて言って左手を差し出す角名に自然といちごミルクを差し出していた。
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しゅな - すなくんが大好きなのでとても嬉しくてきゅんとしました!!!この作品のおかげで悩みが吹っ飛びました!!初コメ失礼致しました!作者様尊敬します!!! (4月21日 22時) (レス) @page4 id: 231c051d6b (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - ポンコツさん» 読み直しにきてくれたのですか!?ありがとうございます…!まだ分かりませんがいつかまたハイキュー書けたら良いなと思っているのでその時にはぜひまた読みに来てください☺️応援ありがとうございます!! (2022年10月20日 9時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
ポンコツ(プロフ) - 以前読みましたが久々に読み直してました!まありさんが書くキャラクターの性格?雰囲気?がすごく好きです!もし今後気が向いたら私推しの影山、牛島、木兎を書いてほしいです(´°ω°`)それ以外でも今後何か更新されたら見にきます!これからも頑張って下さい☆! (2022年10月16日 19時) (レス) @page50 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - 妃嶺さん» そんなに楽しんでいただけたのなら良かったです( ; ; )!わーっ!!ありがとうございます!これからもキュンさせられるように頑張りますー! (2021年12月12日 1時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
妃嶺 - 最後まで読まさせていただきました!最初から最後までキュンキュンして、現実であれば最高なのにな〜って、気づけばお話の中に入り込んでました!他のお話も読まさせていただきます。これからも頑張ってください! (2021年12月11日 12時) (レス) @page50 id: e817c59b7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2021年11月12日 21時