宮くんが可愛いと言ったらしい。2【宮治】

ー ページ29

ー






……でも、私だけじゃなくて、治くんも嫉妬してくれた。治くんは若干怒っているのに、私は少し嬉しくて口元を緩める。


そして私もちゃんと言う。



『治くんだって、女の子に貸してたじゃん』



別に怒っているわけじゃない。

すこーしあの子にドヤ顔されたのと他の子が治くんの匂いに包まれてるのが嫌だっただけで…



「それはごめん。スナに言われた」



あれ、スナくん。

あの時は私を揶揄ってたのに…


眉を下げて、ゆっくりと私から離れる治くんは下げていた視線を上げて私を見る。



「……」


『……』


「……何笑うてんの」


『え、私笑ってる？』



私が聞けば頷く治くん。

あぁ、いけないいけない。

ぎゅっと力を込めて口を結んでみる。



「…………いや、まだ笑っとんで」


『ご、ごめん！やきもち、私だけじゃなかったみたいだから嬉しくて！つい、』



治くんはそんな私の言葉に一瞬驚いた顔をすると、次は困ったように笑う。


実はこんな顔もかなり好きである。

写真に納めたい。



「じゃあ、おあいこでええ？」


『分かった、』


「もう俺絶対せんから、Aちゃんももうせんといて？」



下ろしていた私の手を、治くんの手が包むとじんわりと温かい。



『ん、分かった。ごめんね』


「ううん、俺こそごめん」



一歩、近付けばくっつく額に。


私も治くんも小さく笑って目を見合わせた。









ー

番外編3→←ー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す