宮くんが可愛いと言ったらしい。2【宮治】

紹介しろと ページ1

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『治くん』


「ん？」


『あのね』


「おん」


『えっと、』


「……」


『その』


「……」



いつもの昼休み。ご飯を食べ終えて私は治くんを見つめる。



『……はぁぁあ、』


「何？」


「いやこのくだり何回目？」



そうツッコんでくれたスナくんは少し呆れたように私を見る。


ほんと、何回目だろう…

だってなかなか言い出せなくて…

っていうか本当は私的には言いたくないんだもん。



「どうしたん？」



何回目かも分からないこのやりとりに治くんは怒らず聞いてくれている。優し過ぎやしませんか？



『…うーん、』



治くんもスナくんも不思議そうな顔をしている。


…何をこんなに言い出せないのか？

実は、いつかはくると思っていたんだよ。


女の子特有の、アレ。

陰口とか下駄箱にゴミとか。そんなのは今はどうでもいい。無視すれば何とかなる。


……でも、今日とうとう言われた。






『…治くんを紹介してほしいって子がいてですね、』



眉を寄せて口を尖らせながら10分程かけてやっと言ったこの言葉。


そう。私をいじめるより取り入った方が得をすると思ったのだろう。悪口や嫌がらせなら無視すればいいけど、こういう風に直接お願いされると断れない。…というか断れない性格なんだと今日初めて知った。


さっきも言った通り本当はこんな事治くんに言いたくなんかなかった。だからこんなにも渋っていたのだ。
誰が好きな人の事を好意丸出しの他人に紹介なんてするか。



……だけど実際は断れなかった。


不甲斐なし…！！








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