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数分後。授業終わりのチャイムが聞こえて大きく息を吐いてからゆっくりと立ち上がる。
『…ひっく、うぅ、』
完全に、泣きすぎた。
おかげで目の周りはヒリヒリするし、涙を拭いてた袖はびっしょり。おまけにズビズビと鼻水もひどい。息だって、整わない。
鞄、持ってくれば良かったな…帰りたい。
顔も酷いだろうし、このまま教室には行けない。
『……っふぅ、』
………とりあえず、顔洗ってこよう。
そう思って出来るだけ下を向いて、すれ違う人に顔を見られないように歩く。
確かトイレは階段降りてすぐそこにあったは…
「Aちゃん、」
『…っ、?』
不意に聞こえた声に、思わず顔を上げる。
そこでやってしまったと即後悔する。
数秒前に戻りたい。
『………あっ、お、さむ、くん、』
数メートル先にいたのは驚いた顔して私を見つめる治くん。
わ、私の馬鹿…!!
いつもなら飛び跳ねるくらいに嬉しい治くんの姿。でも今は理由が理由なだけに少し顔を合わせづらくて。
治くん優しいからきっと、理由聞いてくれるだろうし…、
そう思った私は、こちらへ来ようとする治くんから不自然にふいっと目を逸らす。
そして
「…え、ちょ、Aちゃん」
『っ…、』
「何で逃げ出すん?」
『っ』
「ほーん……鬼ごっこする気か?分かった、やってやんで」
『えっ、む、無理無理無理!!追いかけて来なくていいからぁぁぁっ!!!』
「逃げられると追いたくなるもんなんやで」
私はUターンして、猛ダッシュ。
今の会話からして分かるだろうが、治くんはそんな私をなぜか追って来ていて。
『ほんとっ、無理!!無理だから!!』
「じゃあ諦めてや」
『ふぁっ!?!?速い!!速いよ治くん!!怖い!!』
「バレー部ナメたらあかんで?」
逃げ始めた時は距離があったはずなのに、チラリと後ろを見れば治くんはもうすぐそこに。
何でそんなに速いの!!階段もあるし、曲がり角だって使ってるのに!!
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まあり(プロフ) - ♪神夜さん» わーっっ!!!お褒めの言葉ありがとうございます!そしてコメも!嬉しいです!これからもぜひよろしくお願いします! (2021年6月19日 20時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
♪神夜(プロフ) - とても面白いです。読んでいて明るくなる、好きな小説です。これからも更新頑張ってください! (2021年6月19日 19時) (レス) id: 3e91c9a35c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2021年6月9日 21時