目を見つめるべし ページ13
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『可愛いね治くん』
「……んまい」
『何だか動物にあげてる感覚なんだけど堪らん』
「ちょっと、Aちゃん鼻息荒くなってるよ」
『だってスナくん。こんなのもうやばくない?』
何を言っているのかと言うと。
今度の作戦は目を見つめる作戦。と同時に餌付けである。
だから私は治くんの前の席に座って、持ってきたポッキーを次々に治くんの口へ。こちらを見ながらただただサクサクと食べ進める治くんを私も見つめ、餌付けだ。
やばくない?これやばくない?
少し濁ったようなグレーに近い瞳に映るのはもちろん私で。それだけでもう心臓がやばい。こりゃ鼻息だって荒くなる。
こんなの治くんファンに見られでもしたら私の命はない………あ、やば。廊下からめっちゃ視線感じるわ。
幸いクラスには熱狂的ファンはいないらしく、いつもはある程度の事は許してもらえているのだが。他のクラスにはもちろん治くんファンはたくさんいて。
……何度か呼び出しもされたし、嫌がらせもされている。
何でだろうね?別にただの片想いだし、話すのだって友達の距離感と同じなんだから良いじゃんね。彼女でもあるまいし。
っていうか私は行動に移して、今この状況なんだ。何もしないでキャーキャー言ってる子達にそんな風な目で見られたくないね。
『治くん、それまだまだ口に入るの?いつ飲み込んでるの?ブラックホールじゃん』
「まだまだいける」
ほれ、次と急かされて、私は次の袋を開けてまた治くんの口へ運ぶ。うん、可愛い。
『見てよこれスナくん。治くんの唇が私の指につかないようにするスリリングな遊び』
「つけちゃえば?」
『何言ってんの、スナくん。そんな事したらそれこそ後ろから刺されるよ私』
「暗殺者にでも狙われてるの?」
『ふっ、もはや私は学校中から狙われるスーパースターなのさ』
「それスターって言わないからね」
スナくん冷静だよ。
また動画撮ってるし。
「はひ、もひはひへはひははへへふん?」
『え、ごめん治くん。ちょっと聞き取れなかった』
ごめんね、治くん。治くんの言葉全てを聞き取りたいのは山々なんだけどちょっと。
一度、ポッキーを止めて治くんの言葉を待つ。
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まあり(プロフ) - ♪神夜さん» わーっっ!!!お褒めの言葉ありがとうございます!そしてコメも!嬉しいです!これからもぜひよろしくお願いします! (2021年6月19日 20時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
♪神夜(プロフ) - とても面白いです。読んでいて明るくなる、好きな小説です。これからも更新頑張ってください! (2021年6月19日 19時) (レス) id: 3e91c9a35c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2021年6月9日 21時