ー ページ48
ー
あれから数時間。
私は一人でご飯を食べて、お風呂に入ってソファでのんびりテレビタイム。
あとは歯を磨いて寝るだけ。
貴大くんからはさっきもう帰るってきていたしそろそろ帰ってくると思うんだけど…
「ただいまー」
鍵を開ける音と、ドアが開く音がして、私は玄関へ向かう。
『おかえり』
靴を脱いでいた貴大くんは私を見るとへらりと笑って真っ直ぐ私の元へ来る。
笑顔が可愛すぎる。何て嬉しそうな顔をするんだろうって毎回思う。
会うたびにこんな顔してくれるのって嬉しいに決まってるよね。
貴大くんにそれを言ったら私も同じだよって言われたけど…そんな事はないと…思う。
「Aちゃん、ただいまあ」
『……おも、』
私の正面へ来た途端私の肩に両腕をかけて体重を乗せるもんだから思わず後ろへ一歩足を下げる。
「何かすげー会いたくなった」
何そのすごい寂しそうな声は。
『私もだよ、』と貴大くんの背中に手を回そうとする。だけどその手を途中で止めて手を下ろす。
『……、』
嫌な、匂いが鼻を掠めたから。
「……ぎゅーしてくんないの?」
『……貴大くん』
「んー?」
急かすようにぐりぐりと首元に顔を埋めてくる貴大くん。それは嬉しいんだけど、動くたびに。
香るのは、甘い、香水の匂い。
嫌だ。
『貴大くん、くさい』
「え」
『くさい、やだ、離れて』
グイッと貴大くんの胸を押せば、素直に離れた貴大くんの顔は驚いていて。
まあそうだろうな。
いつも貴大くんの匂い好きとか安心するとか、良い匂いとか言ってるからね。
「くさい?マジで?」
『早くお風呂入って来て、じゃないと貴大くんと話さない』
クンクンと自分の匂いを嗅いだ貴大くんは「うわ、マジだ」とボソッと言うと眉を寄せる。
「今すぐ入ってくっから!ケーキ冷蔵庫入れておいてください!」
『…分かった』
明らかに不機嫌そうな顔をしているであろう私に、貴大くんは申し訳なさそうな顔をしながらもお風呂場へと飛び込んで行った。
ー
少し経って、お風呂場のドアの音がしたから冷蔵庫からケーキを出してすぐ食べれるように準備をしておく。
えっと、紅茶でも淹れようかな…
「Aちゃん」
『んー?』
棚からティーパックを探していれば後ろから聞こえた声にチラリとそちらを見る。
ー
279人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まあり(プロフ) - 黒瀬将哲さん» ちゃん付け!確かにそんなイメージあります!気にいっていただけたみたいで良かったです…!こちらこそ見つけてくださりありがとうございました( ; ; )! (2022年4月4日 21時) (レス) @page50 id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬将哲(プロフ) - マジでヤバかったです!もち、良い意味で!貴大くんがもうかっこよすぎて、所々深呼吸してました笑あと、めっちゃ共感したところなんですけど、貴大くんは「○○ちゃん」って呼んでますよね、絶対!本当に本当に尊くて最高なお話でした!!ありがとうございました!! (2022年4月4日 17時) (レス) @page50 id: 255371873d (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - 冬桜さん» わーっ!!!解釈違いが起こらなくて良かったです…!こちらこそ読んでくださり、嬉しいコメントまでありがとうございます( ; ; )! (2022年2月24日 21時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - 女主が攻めたりって今まであんまりなかったので嬉しいです!!可愛いマッキーが解釈一致すぎて…!!!!ありがとうございますありがとうございますありがとうございます (2022年2月24日 16時) (レス) @page50 id: e2ae2aafdb (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - しおきゃらめるぱふぇさん» ううう、嬉しいです…( ; ; )ありがとうございます! (2021年8月3日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まあり | 作成日時:2021年5月31日 18時