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花巻先輩の言葉で我慢していたものがドバッと溢れ出して、涙を隠す事なんて忘れて顔を上げると少し困ったように笑って、だけど優しさを含んだその瞳が私を映す。
「ん、おいで」
『うぅ、』
広げられた両手に飛び込めば、花巻先輩は私を優しく抱き締めてくれる。
好き、大好きだ。
「これからいっぱい会おうな」
『はいっ、』
「あー、俺一人暮らし始めるからいつでも遊びに来て」
『行きます、』
「あと、他の男に目移りしないでな」
『それは花巻先輩も同じです』
「ははっ、しないよ」
耳元で聞こえる聴き慣れた安心する声と頭を撫でる優しい手に、少しずつ涙は止まっていく。
「あ、それと、もう先輩呼びは許しません」
『……』
「ちなみに敬語も」
『………あれ、耳の調子が、』
「あれれ」
ズズっと鼻を啜りながら、花巻先輩の制服を汚す前に顔を離すと「呼んでくれないの?」と眉を下げる花巻先輩のその顔は絶対わざと。
『……呼ぶ、ます、』
「日本語」
『………慣れるまでは、見逃して』
「しゃーない、見逃してやる」
『………たか、ひろくん』
「ん?」
『……卒業しても、よろしくね』
「こちらこそ」
貴大くんはそう言って、私の顎をクイっと持ち上げると今までにないくらいに優しいキスを落とした。
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まあり(プロフ) - 黒瀬将哲さん» ちゃん付け!確かにそんなイメージあります!気にいっていただけたみたいで良かったです…!こちらこそ見つけてくださりありがとうございました( ; ; )! (2022年4月4日 21時) (レス) @page50 id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬将哲(プロフ) - マジでヤバかったです!もち、良い意味で!貴大くんがもうかっこよすぎて、所々深呼吸してました笑あと、めっちゃ共感したところなんですけど、貴大くんは「○○ちゃん」って呼んでますよね、絶対!本当に本当に尊くて最高なお話でした!!ありがとうございました!! (2022年4月4日 17時) (レス) @page50 id: 255371873d (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - 冬桜さん» わーっ!!!解釈違いが起こらなくて良かったです…!こちらこそ読んでくださり、嬉しいコメントまでありがとうございます( ; ; )! (2022年2月24日 21時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - 女主が攻めたりって今まであんまりなかったので嬉しいです!!可愛いマッキーが解釈一致すぎて…!!!!ありがとうございますありがとうございますありがとうございます (2022年2月24日 16時) (レス) @page50 id: e2ae2aafdb (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - しおきゃらめるぱふぇさん» ううう、嬉しいです…( ; ; )ありがとうございます! (2021年8月3日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2021年5月31日 18時