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『そういえば先週隣のクラスの男の子に告白されたんです』
口から出てきた言葉は思いっきり仕返し的な言葉。
「え、」
『……』
「…それで、返事は』
きっとその仕返しに気付いているのだろう。花巻先輩の方へ向き直して座る私に歯切れ悪く目を逸らしながら少し気まずそうにそう聞いてくる目線を床へやる。
返事なんて、そんなのもちろん断った。
だけど私は『返事はー…』なんてそわそわする花巻先輩を見ながら何となく言葉を詰まらせる。我ながらうまい。
そんな私の反応に、花巻先輩は「え、」と口を開くと眉を下げて私を見つめる。
そんなに不安そうな顔しないで。冗談に決まってる。
『彼氏いるって断りましたよ』
少し揶揄うように上げた口角に花巻先輩は一気に脱力すると「まじでさぁ」と息を吐きながら私の首に巻き付いて顔を埋める。
ぐりぐりするからふわふわの髪の毛が当たって少し擽ったい。
「意地悪しないでください」
『え?してないですけど?』
「わーざとらしー」
『いいじゃないですか、これくらい』
「良くないです」
拗ねたように言う花巻先輩が可愛くて声に出して笑うと「む」と花巻先輩は私から離れると今度は整った顔を私のすぐ目の前の数センチの所にもってくる。
「そんな事ばっかするならまたキスするよ」
『そんな事って?』
「そんな事はそんな事」
『ほら、言うじゃないですか。好きな人程いじめたくなるって』
花巻先輩なりの脅しに私は特に引き下がる事もなくそう言い返すと。
「何それ、して欲しいの?」
私の肩に置いていた右手で、私の顎を掬って目を合わせてくる花巻先輩。
先輩の方が、意地悪だ。
『別にそういうわけじゃ、』
「でも嫌じゃないもんね?」
『…そうです、けど』
形勢逆転。
戸惑う私にまるでスイッチでも入ったかのように、グッとまた顔を寄せる花巻先輩は右手を私の後頭部に移動させるとそのまま優しく倒す。
目の前には余裕な笑みを浮かべる花巻先輩と天井。
顔が、熱い。バクバクと、心臓がまた速くなっていく。
「ね、もっかいしてもいい?」
私の表情を伺いながらゆっくりと近付いてくる花巻先輩に、私は緊張しながらも小さく頷く。
「目、閉じて」
『…ん、』
言われた通り、目を閉じるとすぐ。
優しく触れた柔らかい感触。
甘い、キス。
少しするとそれは離れて、だけどまたすぐに。
ちゅ、ちゅ、と何度も何度も重なった。
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まあり(プロフ) - 黒瀬将哲さん» ちゃん付け!確かにそんなイメージあります!気にいっていただけたみたいで良かったです…!こちらこそ見つけてくださりありがとうございました( ; ; )! (2022年4月4日 21時) (レス) @page50 id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬将哲(プロフ) - マジでヤバかったです!もち、良い意味で!貴大くんがもうかっこよすぎて、所々深呼吸してました笑あと、めっちゃ共感したところなんですけど、貴大くんは「○○ちゃん」って呼んでますよね、絶対!本当に本当に尊くて最高なお話でした!!ありがとうございました!! (2022年4月4日 17時) (レス) @page50 id: 255371873d (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - 冬桜さん» わーっ!!!解釈違いが起こらなくて良かったです…!こちらこそ読んでくださり、嬉しいコメントまでありがとうございます( ; ; )! (2022年2月24日 21時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - 女主が攻めたりって今まであんまりなかったので嬉しいです!!可愛いマッキーが解釈一致すぎて…!!!!ありがとうございますありがとうございますありがとうございます (2022年2月24日 16時) (レス) @page50 id: e2ae2aafdb (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - しおきゃらめるぱふぇさん» ううう、嬉しいです…( ; ; )ありがとうございます! (2021年8月3日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2021年5月31日 18時