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本当は嫌だったんだけど今日肌寒かったから仕方なく…
「……は?」
『え、』
私の言葉を聞いて、私の顔とセーターを交互に見た花巻先輩は短く声を漏らした後すぐ。
「俺の貸すから脱いで」
徐に自分が着ていたセーターを脱ぐと、私に差し出してくる。
『うわ、シャツ姿の花巻先輩もかっこいいですね』
「え、ありがと……じゃなくて、ほらこれ!」
『へ…いやでも先輩寒く、』
「俺は平気だから、ね、俺の着て?」
『……はい、じゃあ』
少しだけ、花巻先輩の表情が怒っているように見えたから、素直に受け取って着ていたセーターを脱ぐと花巻先輩のセーターに袖を通す。
わ、やっぱり少し大きいなあ。
いや少しどころじゃないな、だいぶ大きいや。
「これはクラス帰ったらそいつにすぐに返す事!それと他の男の服は着てはいけません!」
『え、あ、はい…?』
袖から手が出ず、体格の違いに感動しているとずいっと私に顔を近付けてそう言った花巻先輩に返事をする。
「全くもう最近の子は〜」
なんて腕を組んで頬を膨らます花巻先輩にピンときた私。
これはもしや…
『もしかして、やきもちですか?』
流れからしてそうな気がする。
恋愛初心者でも分かるぞこれは。
そう言われた私に少し気まずそうに俯く先輩は、
「………そんなん、自分の彼女が他の奴の着てたら嫌に決まってるじゃん、」
と、モゴモゴしながらだがそう言った。
花巻先輩が、やきもち…
花巻先輩が…
「って何でニヤニヤしてるの」
『えぇ、顔に出てました?嬉しくて、つい』
「出てる。思いっきり出てる。そんなAちゃんに、俺は拗ねる」
『何ですかその宣言』
「だから機嫌とって」
いつもの花巻先輩とは違って、口を尖らせてそっぽを向く花巻先輩は少し子供っぽくて何だか可愛くてまたクスリと笑えば「もう知らん」とぷりぷり怒ってすぐそこの自販機へ歩いて行く。
『花巻先輩、置いてかないでくださいよー』
「……」
『せーんぱい、』
私に背中を向けたままさっさっと行ってしまう花巻先輩のシャツをぎゅっと掴んでみるけど無反応。
…これは早めに機嫌をとらねば。
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まあり(プロフ) - 黒瀬将哲さん» ちゃん付け!確かにそんなイメージあります!気にいっていただけたみたいで良かったです…!こちらこそ見つけてくださりありがとうございました( ; ; )! (2022年4月4日 21時) (レス) @page50 id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬将哲(プロフ) - マジでヤバかったです!もち、良い意味で!貴大くんがもうかっこよすぎて、所々深呼吸してました笑あと、めっちゃ共感したところなんですけど、貴大くんは「○○ちゃん」って呼んでますよね、絶対!本当に本当に尊くて最高なお話でした!!ありがとうございました!! (2022年4月4日 17時) (レス) @page50 id: 255371873d (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - 冬桜さん» わーっ!!!解釈違いが起こらなくて良かったです…!こちらこそ読んでくださり、嬉しいコメントまでありがとうございます( ; ; )! (2022年2月24日 21時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - 女主が攻めたりって今まであんまりなかったので嬉しいです!!可愛いマッキーが解釈一致すぎて…!!!!ありがとうございますありがとうございますありがとうございます (2022年2月24日 16時) (レス) @page50 id: e2ae2aafdb (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - しおきゃらめるぱふぇさん» ううう、嬉しいです…( ; ; )ありがとうございます! (2021年8月3日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2021年5月31日 18時