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『……花巻先輩、』
私がそう呼べば「ん?」ってまた優しい声色で聞き返して、優しさを含んだ瞳で私を見る花巻先輩。
『………何でもないの、嘘です』
「ん?嘘?」
『…はい、』
「…?」
『……今、花巻先輩は何考えてますか?』
少し驚いた顔をする先輩に、少しだけ心臓が鳴った。
だけどその表情も一瞬。今度は「んー」と数秒視線を泳がせると背もたれから離れて机の上に腕を組んで私を真っ直ぐに見つめる。
それがまた、いつもの雰囲気とはなんか違くて少し緊張してしまう。
「Aちゃんって、」
『…はい』
「好きな人とか、いる?」
『……え?』
「……あー急だよね、答えたくなかったら答えなくていいよ」
花巻先輩の言う通り、急でびっくりはしたけど答えたくないわけじゃ…
「変な事聞いてごめ、」
『…っいます、』
「…へ、」
『います、好きな人』
私の返事を聞かずになかった事にしようとする花巻先輩に対して、私にしては珍しく大きな声で、先輩の言葉を遮る。
嘘じゃない。本当の事。
私には好きな人が、いる。
『…花巻先輩は、』
ーーーいますか?
続けてそう、聞こうとした。
『……え、花巻、先輩?』
だけどそれが言えなかったのは、花巻先輩が席から立ち上がって、私の手首を掴んだからで。
メロンパンを置いといて良かった、なんて一瞬思ったけどすぐにそんな考えは消え去る。
「…っだれ?俺の、知ってる人?もしかして、及川だったりするの?」
花巻先輩のそんな顔、初めて見た。
まるで切羽詰まったような、余裕のない、そんな顔。
『…及川先輩?何で?』
「……い、や、さっき」
『…さっき?』
何だか答えにくそうに眉を寄せる花巻先輩に、追い討ちをかけるように聞き返す。
「………Aちゃん、及川と話してて顔赤くさせてたから、」
『あー…見てたんですか、』
だって、どうしてそんな顔してくれるのか
どうしてそんな事を気にしてくれるのか
気になるじゃないですか。
「……やっぱり、そうなの?」
否定しない私に、花巻先輩はまるで私を見るのが怖いとでも言うように目を合わせず私のメロンパンを見つめる。
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まあり(プロフ) - 黒瀬将哲さん» ちゃん付け!確かにそんなイメージあります!気にいっていただけたみたいで良かったです…!こちらこそ見つけてくださりありがとうございました( ; ; )! (2022年4月4日 21時) (レス) @page50 id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬将哲(プロフ) - マジでヤバかったです!もち、良い意味で!貴大くんがもうかっこよすぎて、所々深呼吸してました笑あと、めっちゃ共感したところなんですけど、貴大くんは「○○ちゃん」って呼んでますよね、絶対!本当に本当に尊くて最高なお話でした!!ありがとうございました!! (2022年4月4日 17時) (レス) @page50 id: 255371873d (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - 冬桜さん» わーっ!!!解釈違いが起こらなくて良かったです…!こちらこそ読んでくださり、嬉しいコメントまでありがとうございます( ; ; )! (2022年2月24日 21時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - 女主が攻めたりって今まであんまりなかったので嬉しいです!!可愛いマッキーが解釈一致すぎて…!!!!ありがとうございますありがとうございますありがとうございます (2022年2月24日 16時) (レス) @page50 id: e2ae2aafdb (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - しおきゃらめるぱふぇさん» ううう、嬉しいです…( ; ; )ありがとうございます! (2021年8月3日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2021年5月31日 18時