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「あちー」
『バレー見るのも好きですけど、やるのも意外と楽しいですね』
「だろ?」
『でも、もう、無理、』
「ははっ、すごい動いてたもんな、Aちゃん」
『だって、及川先輩が、』
あの後、鬼ごっこや、かくれんぼ。だるまさんがころんだや、バレー。
色んな遊びを全力でやらされて。
特に及川先輩に。
少しでも手を抜くと、うるさくて。
…もうへとへと。
「ちょっと待っててな」
花巻先輩は自然にポンっと私の頭を撫でるとコンビニへ入っていく。
どうにかコンビニまで辿り着いたけれど、これ以上足が動かず花巻先輩に言われた通り外で大人しく待つ。
するとすぐ。
コンビニから出て来た花巻先輩は、「ん、あげる」と2つに分けられる吸うタイプのアイスを差し出してくる。
『え』
「付き合ってもらったお礼」
『でも、ジュースももらいましたし、』
「いーからほら!食って」
さすがに悪いと受け取るのを躊躇していれば、ぽきっと蓋の部分を折って
『んぐっ』
口に突っ込まれた。
驚いて突っ込んだ張本人を見れば笑ってる花巻先輩。
ぐっ……カワイイ。ずるい。
『………ありがとうございます、』
「何その不満げな顔は〜」
『…だって、私ばっかり貰ってるので、』
「そういうのはいーの!俺がしたくてしてるんだから。嬉しそうにしてくれれば俺はうれしーんです」
『……花巻先輩は、ずるいんですってほんと、』
「んー、さっきも言ってたねそれ」
ちゅーっとアイスを吸いながら横目で私を見る花巻先輩の真似をして私もアイスを口に含みながら横目で見る。
可愛いけど、かっこいい。
2歳しか離れていないのに、
余裕に見える雰囲気も、言葉も気遣いも、優しさも、こんなにも違うものなのかと思う。
…確かに確実に変わってきている私の気持ち。
こんなの、気にならない方がおかしい。
照らしつける日差しから逃げるように影の下に並んで立ちながら、同じアイスを食べる。
視線は絡み、互いに目は逸らさない。
柔らかい風が私達を包み、髪を揺らす。
花巻先輩は今、何を考えているのだろうか。
そんな事考えたって分からないのに考える。
花巻先輩も同じ事思ってたりするのかな、なんて。
互いに合わせたわけでもない。
それなのにほぼ同時に、目を細め、口元を緩め、花巻先輩も私も、笑った。
こんなの、好きにならない方がおかしい。
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まあり(プロフ) - 黒瀬将哲さん» ちゃん付け!確かにそんなイメージあります!気にいっていただけたみたいで良かったです…!こちらこそ見つけてくださりありがとうございました( ; ; )! (2022年4月4日 21時) (レス) @page50 id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬将哲(プロフ) - マジでヤバかったです!もち、良い意味で!貴大くんがもうかっこよすぎて、所々深呼吸してました笑あと、めっちゃ共感したところなんですけど、貴大くんは「○○ちゃん」って呼んでますよね、絶対!本当に本当に尊くて最高なお話でした!!ありがとうございました!! (2022年4月4日 17時) (レス) @page50 id: 255371873d (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - 冬桜さん» わーっ!!!解釈違いが起こらなくて良かったです…!こちらこそ読んでくださり、嬉しいコメントまでありがとうございます( ; ; )! (2022年2月24日 21時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - 女主が攻めたりって今まであんまりなかったので嬉しいです!!可愛いマッキーが解釈一致すぎて…!!!!ありがとうございますありがとうございますありがとうございます (2022年2月24日 16時) (レス) @page50 id: e2ae2aafdb (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - しおきゃらめるぱふぇさん» ううう、嬉しいです…( ; ; )ありがとうございます! (2021年8月3日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2021年5月31日 18時