砂糖水【花巻貴大】

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「は、ちょ、二人とも何してんだよ」



はぁ、と視線を地面に落とそうとした時。

聞こえてきた声と、及川先輩の「いてっ！！」という声に跳ねるように顔を上げる。



「ちょいちょい、二人とも。後輩をいじめないでくださーい」


「ちょっとマッキー！俺だけチョップなんてひどくない！？」


「苦情は受け付けませーん」



「はいはい、どいて」と及川先輩と松川先輩をぽいってすると私を隠すように立つ花巻先輩に背中、広いなぁ、なんて呑気な事を考える。



「さっ、早く帰れ〜俺は今から可愛い後輩達と放課後デートなんですー」


「何でさ！俺達も行ったっていいじゃん！マッキーひどい！」


「岩泉と松川ならいいよ」


「なおさらひどい！俺だけ仲間外れ！」



仲、良いんだな…

まあ何となく知っていたけど。

それなら、と。私は花巻先輩のセーターをそっと掴むと「ん？」と顔だけこちらへ向けた花巻先輩にコソッと『もしあれなら一緒でもいいですよ？』と言ってみる。

いくら私が及川先輩が苦手だとは言え、花巻先輩の気遣いに甘えすぎてはいけない。それに、苦手ってだけで別に何かされた訳でもないし。


だけど花巻先輩は



「あーいいよいいよ。気にしないで。ただからかいたいだけだから。こいつらは。…よし、じゃあ二人とも行こ」



ととうとう及川先輩を無視してそのまま歩き出したから、私も国見も花巻先輩の後を歩いてその場を後にする。
一応挨拶くらいはした方がいいかと、岩泉先輩と松川先輩に頭を下げた。


そして「え！？俺には！？そんなに嫌いなの！？何かした覚えないよ！？」と嘆くような声が聞こえてきたのは知らないふり。







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