39 ページ5
ー
「……」
『……』
帰り道。
隣には赤葦。
何で?
お互い無言で歩く帰り道はとても静かで。
いつもとは何かが違う。
赤葦が追いかけて来て、どうしたのと聞かれたが頑なに答えなかった私に折れた赤葦。
「じゃあ送るよ」と言うと、本当に私の家の方向へと歩き出したのだ。
それで今のこの状況。
あの人はいいの?
どうして追いかけて来てくれたの?
いつもとは違って、黙る赤葦の考えてる事が分からない。
「……」
『……』
「………あのさ、」
だけどここで沈黙を破って口を開いたのは、赤葦だった。
「さっきの人、音駒のバレー部」
『へ?』
「罰ゲームで、女装させられてたんだって」
『……』
何も、言っていないのに。
まるで私の考えを読んだかのように脈絡もなくそう言った赤葦の言葉に思わず足が止まった。
「…?」
赤葦もそれに気付いて足を止めると、私の事を見る。
『……』
「どうしたの?」
『…………私、別に、何も言ってない』
「…まあ、うん、そうだね」
『……』
何その困ったように笑う顔。
何だか全部、見透かされてるような気持ちになる。
『………でも、本当?』
そんな事聞いたらまるで、私が赤葦の事気になってしょうがないみたいだ。
そんなのは自分でも分かっていたけど、聞きたくて。
無意識に、握った手に力が入る。目線は赤葦の足元。
耳だけを集中させて。
静かに赤葦の言葉を待つ。
「……本当だよ。あれは男」
『……』
「俺は、Aが好きだし」
『っ、』
平然と言われたその言葉に、心臓がドクドクと速くなって。
耳まで熱くなる。
今まで気にしないようにしていた言葉が、私の中の変化のせいで。急に届いて。恥ずかしい。
『あ、赤葦の馬鹿』
「ん?」
『そこまで言えとは言ってない!』
「…のわりに嬉しそうだけど」
『うるさい!』
私は赤くなった顔を見せないように俯いて、赤葦を追い抜かしてどんどん歩く。
「…意識、してくれてるんだね」
『っ、』
「嬉しい」
『っっもう!!やだ!!離れて!!足長い!!追いついて来るな!!』
「ごめんって」
置いて行こうとどんなに頑張って早歩きしても、余裕そうに追いついて来る赤葦に。
数分後、諦めた私は息を切らしながら赤葦を睨んだ。
ー
139人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まあり(プロフ) - 妃奈さん» 最後までお付き合いくださり本当にありがとうございましたぁぁあ…!!あの、コメ等本当の本当に励みになりました!ぜひぜひこれからも楽しんでいただけたら嬉しいです! (2021年6月4日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
妃奈(プロフ) - 完結しましたね(´TωT`)赤葦くんめちゃくちゃ素敵でした…!次の作品も嬉しみにしています!!(´TωT`) (2021年6月4日 6時) (レス) id: ba023e4a89 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - 夏雨さん» くっつきましたよおおお!!我慢して頑張って頑張りました赤葦くん!!きっと赤葦くんが幸せにしてくれます!笑 (2021年6月3日 10時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - ハイキュー!!さん» 楽しみにしてくださっているのですか!!すごく嬉しいです!!番外編落としたら完結ですがぜひぜひそれまでお付き合いくださいませ! (2021年6月3日 10時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
夏雨(プロフ) - ああああ!やっと、やっとくっつきましたね!赤葦おめでとう…ヽ(;▽;)幸せになって、!←謎のエンディング感すみません (2021年6月2日 23時) (レス) id: 1f12b442c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まあり | 作成日時:2021年5月30日 21時