笑って、眉を顰めて、笑って。2【赤葦京治】

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多分、赤葦の前で泣いたのは初めてで。

嗚咽混じりの私の言葉は聞き取りずらい。


だけど赤葦は、すぐにこちらを向くと「俺こそごめん、」そう言って私の背中に手を回して隙間がないくらいに抱き締めてくれる。


今度は違う、優しい声。



「Aが謝る事じゃないよ、俺が悪かった。ここにいる、いるから、」



泣かないで、と抱き締めながらも私の頭を撫でててくれる。



『………赤葦の事、本当に怖いとか思ってないの、体が勝手に、』


「…うん、大丈夫だよ」


『っ、』



しばらく背中をポンポン、とリズム良く撫でられていると段々と落ち着いてくる。



『……ごめん、多分制服めちゃくちゃ濡らしちゃった』


「いいよ、大丈夫」



赤葦から離れて一応持っていたハンカチを取り出して赤葦の制服に当ててみるけどあんまり意味はない。



「目、赤くなっちゃったね」



赤葦の右手が不意に私の頬をなぞる。



『赤葦の手、冷たいね』



少し心地良くてもっと、と目を瞑れば何度か往復してくれていると。


ちゅ、と何か柔らかいものが瞼に当たったと思ったら。多分赤葦の唇で。



「泣かせてごめんね」



って、そんな言葉が降ってくる。

私はゆっくりと目を開ける。


また、そんな顔しないで。

赤葦のせいじゃないんだから。








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