笑って、眉を顰めて、笑って。2【赤葦京治】

番外編3 ページ19

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『あ、赤葦？私、だいじょ、』


「大丈夫じゃない」


『あか、』


「いいから、黙ってて」


『……』



赤葦が、怒ってる。

聞かなくても、分かる。


その声は珍しく優しさはなくて、微かに怒気すらも含まれていた。

体に感じる浮遊感は赤葦にいわゆるお姫様抱っこというものをされているから。

ズキズキと痛む腕はついさっきの事。

移動教室の途中。赤葦が忘れ物をしたとかで私が先に移動していた時だった。



「きゃ、」



すぐ後ろから聞こえた小さな悲鳴に、振り向けば。



『あぶないっ、』



階段の真ん中らへん。

私のすぐ後ろの子が階段から足を踏み外したらしく、その子の体が傾いていくのが見えて。



『っ、』



私は咄嗟にその子を庇うように、一緒になって階段から落ちた。


多分、すごい音がした。

幸い頭は打っていなかったし、起き上がれば。



「ご、ごめん！！Aちゃん大丈夫！？どっか怪我とか…！！」



今にでも泣き出しそうな顔でその子が私を心配するから、笑顔を作って『大丈夫だよ、あなたは大丈夫？』と立ち上がればその子はどこも怪我しておらず。


ホッと息を吐いた。


すると、次の瞬間。

ズキっと鋭い痛みが腕に走って顔を歪める。

さっき、床に落ちた時捻ったかぶつけたか…



『っ、』



痛みが尋常じゃなくて、これはやばいと思って冷や汗を浮かべながらも笑顔は崩さず



『ごめん、私ちょっと保健室に、』



行くとその子に言おうとした。


だけど、言えなかったのは…



「バカ、何してんの！早く保健室行くよ！」


『え、ちょ、』


「痛いのどこ！？」


『…あ、腕、』


「ごめん、急ぐから、」


『ふぉっ、えっ、ちょ、え、』



赤葦が焦った顔して私の元へ来たと思ったら、私が何か言う前に抱き抱えたから。









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