私の安全地帯は爆豪の後ろ。2【爆豪勝己】 (ページ8)

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「…………A？」

私に気付いた爆豪は、赤い瞳を私へ向ける。

あ……今、初めて私の…名前……呼んでくれた。

今まで、てめぇとかおめぇだったのに…。

……って、今はそれどころじゃない。

正直、私の頭の中は今。

この部屋にいる、
女の子の事で頭がぐちゃぐちゃだ。

『…………な、んで…』

何で、あんたがここに…

「………Aって…それにその声、」

爆豪が呟いた私の名前にピクリと肩を揺らすと、その子はゆっくりと。

こちらへ振り返る。

『…っ！！』

やっぱり…！

『サ、キ……どうしてここに、』

「A……あんたこそどうして、」

後ろからは「何、知り合い？」「友達なの？」と色んな声が聞こえてくる。

知り合い？友達？

そんなの…

どれでも、ない。

ここで少し。

私の過去の話をしよう。

つまり、死ぬ前の私の話。

何となく察しているとは思うが…

私は、母子家庭で育った。

父親は、全く記憶にはない。

あの女が言うには私がお腹にいると言った瞬間、逃げ出したのだと言う。

別に、そんな事はどうでも良かった。

というか父親。そんな存在、必要なかった。

物心ついた時にはもう、私は。

何もかもが、ボロボロだったから。

ーーー何であんたみたいな奴産んだんだろう

ーーー生まれてこなきゃよかったのに

ーーーは？痛い？そんなの知るかよ。っていうかあんたに感情なんてあんだ？

死ね、消えろ、ゴミ、クズ。

そんな言葉。たくさん言われ続けてきた。

私の母。あの女に言われ。

ーーーあんたがいると迷惑なんだよ

ーーー消えろよ

学校でも、そんな言葉をいっぱいいっぱい言われた。

面白いよね、人間って。

プツンと、何かが切れると何も感じなくなる。

私は小さい時にはもう、そんな状態だった。

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