私の安全地帯は爆豪の後ろ。2【爆豪勝己】 (ページ32)

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すると爆豪は小さく息を吐く。

そして、

「……自分くらい大切にしろっつっただろうが」

珍しく消え入る様な、そんな声でそう言った。

『…へ、』

「あんな時に、俺を庇うんじゃねえ」

『…ば、ばくこう？』

どうしたのだろうか。

爆豪の温かくて大きな手が、私の頬にそっと触れる。

爆豪から触れるなんて、珍しい。

だから私はそのまま、その手に擦り寄る。

やっぱり、爆豪の近くは何だか安心する。

緑谷くんとはまた違う、安心感だ。

緑谷くんには悪いけれど、
こっちの方が私は居心地が良くて。

…この手も、好きだなぁ。

爆豪は擦り寄る私を見て嫌な顔一つせず、寧ろソレを見て何だか少し表情が柔らかくなる。

「あ！いた！！ばくごー！！とりあえず数人、呼んできたぞ！！何かあったのかー？」

『わっ、』

「チッ」

舌打ち！？

切島くんが折角呼んできてくれたのに！？

「おっせーよ！！」

「え？悪りぃ！これでも急いだんだぞ？理由も言わねーからビビったわ！」

「急ぎだったんだよ！！それくらい分かれ！！」

「って、A！！背中の服どうした！？」

『えっ、あっ…』

私は久々の切島くんに、無意識のうちに爆豪の後ろへ隠れてしまう。

背中って…

あ…

忘れてた…

傷は治ったっぽいけど、服が…

ど、どうしよう、

『ばくっ…うぇっ！？』

爆豪に助けを求めようとすると、

小さな舌打ちと共に。

顔面に被されたのは、爆豪のパーカー。

「着とけブス」

『…ブッ！？…………、』

私はブスという言葉は聞かなかったことにして、大人しくそれを羽織る。

『……あ、りがとう』

「……うるせえ」

『素直じゃない』

「ああ！？喧嘩売ってんのか！？言い値で買うぞ！？」

『ヒッ』

「お前ら、静かに」

『あ、相澤先生！だ、大丈夫、でしたか…？』

「あぁ、平気だ」

いつの間に部屋から出てきたのか、私達の次に切島くんの後ろにいるプロヒーロー達に視線をやる。

あ…

目の下赤くなってる…

目じゃなくて良かった…

私の携帯のせいで…ごめんなさい。

「切島、悪い。今日はこのまま部屋に戻ってくれ」

「え！？あ、はいッス！」

「爆豪もだ」

「……」

「Aは一緒に来てくれ」

『あ、はい…』

私は爆豪の服を最後にギュッと握ってから、その手を解いて相澤先生達の後を追った。

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