私の安全地帯は爆豪の後ろ。2【爆豪勝己】 (ページ25)

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それは遡る事数日前。

爆豪が私の部屋へ来た次の日だった。

いつも通り、仕事をして。

洗濯を取り込んでいた時。

「いたいた」

いつもならみんなと帰ってくるはずのサキがみんなより早く寮へ帰ってきた。

もちろん私はすぐに逃げようとしたのだが。

「待ちなさいよ」

『っ……、』

サキのその声に従うしかなくて。

私はその場で足を止めた。

「あのさぁ、昨日聞いてたんだよね。爆豪くんとの会話」

『……』

昨日って…

まさか。

爆豪が私の部屋に来た時の…？

爆豪にベタベタしているサキは完全に爆豪くんが気に入ってるはず。

それなのに、話を聞かれたって事は…

「ねぇ、」

『っ、』

俯く私の前まで来て、顔を覗き込むサキ。

それに自然と震える。

怖い、怖い。

サキが、怖い。

染み込んでいるのだ。

私の体に、頭に。

恐怖が。

痛みが。

「実は私、アニメ見てたから爆豪くんの事知ってるの。かっこいいよねぇ」

『っ…、』

黙って下唇を噛む私を面白そうに見ながら、サキは私の前髪を乱暴に引っ掴む。

…いたい、

嫌だ、離して。

「私、爆豪くんの事好きなの」

だから、何なの。

何で、言うの。

「そうするとね？あんたが邪魔なの」

『っ、』

「あんたがいると私がここでチヤホヤされないじゃん？」

知らない、そんなの、

どうだっていい。

頭の中では言い返しているのに、

声は全く出ず。

唇を噛みすぎて、とうとう鉄の味がしてくる。

「だからさぁ、」

『……、』

「…消えてよ？」

『……っ、』

「っていうか、消すね？」

『………け、す…？』

サキの言ってる事が、理解出来ない。

消す？
消すって…？

この世から存在を？

物理的に？

私は、また、殺されるの？

あの時の、あの瞬間の苦しさが。恐怖が。

走馬灯のように、駆け巡る。

嫌、だ…

怖い、

サキは、気持ち悪いくらいににっこりと笑う。

『っ……、』

「ふふ、じゃ。楽しみにしていてね」

『……、』

と、こんな事があった。

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