私の安全地帯は爆豪の後ろ。2【爆豪勝己】 (ページ21)

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それとも。少しでも視界にサキを入れたくなかったからか。……爆豪に、ここにいるとバレたくなかったからか。

一人で部屋まで行けないと、
何となくそう思った。

「だ、大丈夫？Aさん、」

『あ、う、うん…ごめんね、』

私はせっかく声をかけてくれたみんなに対して返事もせず。ただ緑谷くんの背中にくっついて、前へ進む。

ごめん。ごめんなさい。

今もし、私が何か言ってもどうせ誰も信じてくれない。何を言っても…きっと。

喋れない私なんかより、裏の顔はあるが表の顔はフレンドリーなサキの方がいいに決まってる。

今ここでもし。何かを変えようと、何かを言ったとしてもきっと…

「……Aさん？」

無意識のうちに緑谷くんの服を掴む手に力が入っていたからか、また緑谷くんに声をかけられる。

『あ、ご、ごめん…』

「いや、いいんだけど…さ、」

『え…？』

なぜだか緑谷くんは進めていた足を止めると、気まずそうにモゴモゴと口籠る。

「……か、かっちゃんが、」

『……へ、』

爆豪…？

私はそっと緑谷くんの後ろから目だけを覗かせて、爆豪がいるらしき方に目を向け……

ッヒィ！？！？

私は思わず顔を引っ込める。

にっ…

睨まれてる…！？

しっかも、めっちゃくちゃ深いシワを眉間に寄せて！？

こ、怖い…

何で！？私何かしたっけ！？

い、いや…みんなと同じで爆豪には会っていなかったし…

決して気に触る様な事はしていないはず。

そ、それなのに…

『……、』

もう一度だけ。

少しだけ。

も、もしかしたら見間違いかも…と。

もう一度ゆっくりと爆豪を見る為目だけを出して……

『みっ…緑谷くん！？は、早く帰ろう？部屋へ戻ろう？私視線だけで殺される自信あるよ…！』

「へ！？あ、うん！？」

パタパタと緑谷くんの背中を軽く叩けば、緑谷くんは少しだけ駆け足で前へ進む。

ほ、本当は少しだけ…

話せるかななんて、ほんの少しだけ期待したけど。

あ、あんな風に睨まれてたら無理だ…

(ヒィッ…かかかかかっちゃんが！！！僕の事超睨んでくるんだけど！？絶対絶対理由は後ろにいるAさんだよね！？ぼ、僕今日死ぬの！？Aさんは自分が睨まれてるとか思ってたみたいだけど完全僕だからね！？こ、怖いよかっちゃんんんん！！)

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