検索窓
今日:48 hit、昨日:73 hit、合計:279,162 hit

ページ30









『……ここまで来たんなら、会いに来いバカ』



私はいつだって、会いたいの。


お腹は、痛いけど。

クロくんにぎゅってされるだけで、撫でられるだけで、落ち着くのに。






それから数分もしなかった。


バタバタ、と家の中で聞こえた足音にまた。布団から顔を覗かせてドアの方を見ていれば。


コンコン、とノックがして。

ドアが開く。



「……A?」



電話の声なんかより、ずっとよく聞こえる声。


私の名前を呼ぶそのトーン。



『こっち、来て』



布団にくるまったまま、ベットに座って隣を指差せば。クロくんは上着を脱ぎながら素直にそこへ腰を下ろす。



『…手、広げて』


「……はい」


『ぎゅってして』


「…ん、」



広げられた腕の中にぽすっと入れば、クロくんは言った通り私を優しく抱き締めてくれる。


優しい温度に、優しい腕。



「…俺がいても邪魔じゃない?平気?」



頭上から聞こえたそんな声に、『いてほしい」と言えば「ん、分かった」と短い返事が返ってくる。



『あ、飲み物とか、ありがと、クロくん』


「どういたしまして」


『薬とか、買うの恥ずかしくなかった?』


「全然大丈夫」


『そっか』



当然とでも言うようなクロくんの声に小さく笑えば、クロくんの手は私の髪を優しく撫でる。



『クロくんの手は魔法の手です』


「そ?」


『うん。落ち着く』


「そりゃ良かった」


『…ん、』



何度も何度も私の頭を往復する手が、すごく心地良くて。


私はいつの間にか眠りに落ちていた。









目が覚めればベットの中。きっちりと布団はかけられていて、おまけにクロくんの長い腕に抱き締められているからすごく暖かくて。


隣で寝ていたクロくんにお礼を言いながらキスを落とせば、「ん、」と返事が返ってきてまた、優しい温度で私を包んだ。







18→←17



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (356 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
730人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 音駒 , 黒尾鉄朗   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まあり(プロフ) - 黒瀬将哲さん» きゅんしていただけたのなら良かったです…!!こちらこそ見つけてくださりありがとうございました( ; ; )! (2021年12月29日 22時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬将哲 - 最高でした!!もぅ、クロがカッコよすぎ♡トキメキをありがとうございます! (2021年12月28日 21時) (レス) @page47 id: d01723e5ca (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - かれんさん» かれんさん、そんな風に言っていただけるなんて嬉しすぎます…!!でもあと一つ落としたら完結の予定なんです…、機会があればまた書こうと思いますのでその時はまたよろしくお願いします!! (2021年5月10日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
かれん(プロフ) - 完結してほしくないです泣くだらないことでもずっと書いて欲しいです!!! (2021年5月9日 21時) (レス) id: b543d6bbb4 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - りおん。さん» りおんさん、読んでくださりありがとうございますー!あああああっそう言っていただけてとても嬉しいです!! (2021年5月6日 8時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まあり | 作成日時:2021年4月25日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。