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その時だった。
ボトッと。
数メートル先で何かが落ちてきたと思ったら、
「見なくていい」
私の前へずいっと出てくると視界を遮るから煉獄さんが鬼を倒してくれたのだと察する。
煉獄さんって本当に凄い人だったんだなぁ。
音もなく、一瞬で倒してしまうなんて。
ついこの前伊之助くんと手合わせしていたのを見ていた時も凄かったけど…
だって煉獄さんの動き、見えなかったもん。
それに必死でついていこうとしてる伊之助くんだったけど、最終的にこてんぱんにやられてしまっていたし…
「…A。俺の後ろにいろ」
『へ、』
呑気にそんな事を考えていたのだが、
煉獄さんの真剣な声に引きずり戻されハッとする。
「まだいる」
鬼が?
キョロキョロしてみるが何も見えない私とは違い、気配で分かっているらしい煉獄さんは私を背中に回すと建物の角を見つめる。
「見つかっちまったか」
そんな声が聞こえたと思ったら煉獄さんの視線の先にあった建物の影から出てきたのはさっきの鬼と同じように鋭い牙と爪を持った男。
さっきの鬼と違うのは口元に血をつけている事。
『っ…、』
まさか…
「食ったな」
煉獄さんの目にソレが映った瞬間、ピリッとした空気が流れ私は思わず唾を飲み込む。
けれど鬼は少しも怯む様子はなく、寧ろ挑発するように煉獄さんに気味の悪い笑みを向けてこう言ったのだ。
「後ろの女を大人しく渡せばお前は逃がしてやる。男を食う趣味はなくてね」
わ、私を…?
煉獄さんはゆらり、髪を揺らすと左手に持っていた刀に手を伸ばす。
「Aは動くんじゃないぞ」
『はい』
邪魔にならないように絶対にここから動きません。そう心に決めて自分の手を握る。
随分と余裕そうに笑っていた鬼。
だが。煉獄さんがその鬼を倒すのにはそう時間はかからなかった。…というか一瞬だった。
「逃がしてやると言っているのに、立ち向かってくるとは馬鹿なおと…」
「あまり口を開くな」
鬼の声を遮って、低い声でそう言い構えれば。
「弐ノ型」
風が吹き、私の目の前から消えた煉獄さんは次の瞬間には鬼の前にいて。
「昇り炎天…!」
刀が下から上へ持ち上げられたと思ったら炎を渦巻き、鬼の首は落ちる。
「……へ?」
鬼自身も理解していなかったみたいだった。
それくらいの速さ。
煉獄さんは鬼の首が切れたのを確認すると、刀を鞘へ収める。
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まあり(プロフ) - まゆさん» まゆさん、最後まで読んでくださりありがとうございます!キュンキュンしていただけて嬉しいです!こちらこそ感謝です!!! (2021年4月23日 19時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます!1から拝見しててとても感動とキュンキュンと楽しさもあって....感動作をありがとうございます! (2021年4月17日 1時) (レス) id: f2813c0044 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - 明日香さん» また、すみません、ありがとうございます! (2021年3月12日 21時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
明日香(プロフ) - 43話の次が12話ですか? (2021年3月12日 21時) (レス) id: 239fe8d3ac (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - まゆさん» さて、何が起きるんでしょう…?お楽しみに…! (2021年3月10日 20時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2021年3月7日 13時