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『……ぁ、』
目覚めたのは次の日の夕方だった。
目を開ければすぐに映ったのは見た事のない天井と、光さすオレンジ。
意識はハッキリしていて、頭の中もスッキリしているのに、体は重く、とてもダルい。
そうだ、ここはあの人の…
思い出しながら額に手を当てようと手を持ち上げた時、ある事に気付いた。
『…これって、』
私が手に握っていたのは、見覚えのある羽織。
昨日の彼が着ていたはずのものだ。
『………はぁぁぁぁぁぁ、私って、』
立てないと恥を晒した挙句、
彼の羽織を掴んで離さなかったのか。
ポスッと手に持っていた羽織を自分の顔面に落として息を吐く。
恥ずかしいの連続すぎる。
もう嫌…
逃げ出したい…
でも何故か体動かないし…
逃げ出す気力なんてない。
『何してんの、私ってば……、』
「ははは!俺の羽織で何をしているんだ?」
「あらやだ、そんなに煉獄さんが恋しかったんですかねぇ」
『…………へ、』
自己嫌悪に浸っていれば、聞こえてきたのは昨日の声と。もう一つの知らない女の人の声。
『だ…誰…?』
顔にかかる彼の羽織をズラして視線だけをそちらへやれば、そこにはやっぱり見覚えのない女の人。
知らない、人。
それだけで私の手に無意識に力が込められて。
彼の羽織に皺を作る。
「初めまして、胡蝶しのぶっていいます」
ふわふわした柔らかい声でそう言った彼女は逃げ出したくても体が動かず逃げられない私に近付いてくる。
逃げ、なきゃ。
どうして動かないのよ私の体…!
彼が一緒という事は悪い人じゃないって事は頭のどこかで分かっているはずなのに、体はまるで拒絶するかのように震える。
「まあまあ、そんなに怯えないでください。何もしないですよ、少し傷を見に来たんです」
『っ、』
「煉獄さんも昨日出来るだけ処置はしたらしいですけど、ちゃんとしないと、」
私は後ろに立ってこちらを見る彼を見る。
この人は大丈夫なの?
本当に?
すると彼も私の不安を感じとってくれたのか、「うむ!」と大きく頷いた。
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まあり(プロフ) - annkoさん» あああっ貴重な睡眠時間をっ…!?お礼を言っても伝え切れないです…!ありがとうございます!!お仕事、頑張ってください!! (2021年3月29日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - あれから睡眠よりも続きを!…と、全て読破させていただきました!午前中の仕事に若干支障が出ています(笑)。でもそれよりも、もうニヤニヤして最高の時間でした…煉獄さん本当にかっこよすぎです!更新楽しみにしています(^^)頑張ってください! (2021年3月29日 12時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - annkoさん» annkoさんはじめまして!あああっ…お暇がありましたらぜひぜひ読んでみてください!コメントありがとうございます…!嬉しいです!! (2021年3月29日 7時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - こんばんは!はじめまして!素敵なお話をありがとうございます(^^) 煉獄さん…本当かっこよすぎて!お話の展開もとても好きです(^^)続きを全部一気に読みたいです!更新頑張ってください(^^) (2021年3月28日 23時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - まゆさん» わーーっ!!!嬉しいです!コメありがとうございます!とても励みになります〜! (2020年12月26日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2020年11月29日 19時