太陽は眩しく笑う。1【煉獄杏寿郎】

ー ページ46

ー









けれど、煉獄さんに何が伝わっていないのかよく分からない。


だって今度は、私の肩に手をやると



「許して、くれないのか？」



そう言って私の顔を覗き込んできたのだ。


大丈夫だと、もういいと、何度も言っているのに。どうして…



『許すも何も私は、』









「じゃあどうしてさっきから目を合わせてくれない？俺を真っ直ぐに見てくれない？」


『…え、』



その時やっと、綺麗な瞳と目が合った。


赤く、炎を纏っているかのようなその目は私を射抜くように真っ直ぐ見つめる。



「そうやって、いつもみたいに見てくれないじゃないか」


『…っ、』


「怒って、いるんだろう？」



その言葉に、微かに胸が騒つく。


別に…怒ってるわけじゃない…

怒る理由も、ないから。

怒れるような立場じゃないから。


そんなの、分かってる。

分かっているのに。



『………ずるいです、煉獄さん』


「……」



煉獄さんは私を引き出すのが上手い。


自分でも分かっていない部分を、手繰り寄せるように簡単に引っ張り出す。


嘘も、つけない。



『………別に、怒ってはないです。これは、本当です』


「うむ」



でも何か、胸がモヤってして。

帰って来た煉獄さんを見ると同時に安心してホッとした次には彼の顔を真っ直ぐに見れなくて。



『……不死川さんが、言ってました』


「何を？」


『遊郭は、その……男と…女の……、ソウイウ所なんですよね…？』


「……」



無言は、肯定。


黙って私の言葉を聞く煉獄さんからやっとの事でまた目を逸らし、俯く。



煉獄さんも男。


それで遊郭に、連れて行かれた煉獄さん。という事は。









ー

ー→←ー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す