ー ページ35
ー
「きゃっ、」
『わっ…！！』
小さな悲鳴と同時にぶつかる衝撃。
『え、ご、ごめんなさい！！大丈夫ですか！？』
廊下の曲がり角で思いっきり誰かとぶつかってしまったのだ。
私は急いでぶつかった衝撃で倒れてしまったその子に手を差し出す。
「えっ、えっ、私は大丈夫なのですが、あなたこそ大丈夫ですか！？」
その子はオロオロして目に涙を溜めた状態で私を見る。
別に何ともないのだけれど、床に転がっているのは割れた湯飲み…？
そこには液体もこぼれていて。
って、やばい。
湯飲み…
今のってきっと、私がぶつかったから割れたんだよね！？
私のせいだよね！？
やってしまった…
手伝いに来たのに…
また迷惑を…
はああああ、湯飲みを割って…
「え、あ、あのっ、早くしのぶ様の所に…」
頭を抱える私にその子は焦ったようにそう言う。
何をそんなに焦った顔をしているのだろう。
私は特にどこも…
「湯飲みの中身は熱いお茶ですよ！」
『……あ、』
その子が指差す場所を目で追う。
本当だ…
ぶつかった時、私にそれがかかってしまったらしい。
確かに太もも辺りがじんわりと熱くなってきて、ヒリヒリと痛んでくる。
『え、そんなっ…大丈夫で…、』
私はこれ以上迷惑はかけられないと、足に広がっていく痛みに知らないフリをして割れた湯飲みを片付けようと膝を曲げた。
…が。
『……え、』
ヒュウウウウウと効果音さえ聞こえてくる程の寒気にピタリと動きを止め、ゆっくりと顔を上げる。
『…し、しのぶさん……、』
「はい。しのぶですよ。何してるんですか？早くこちらに」
そこにいたのはしのぶさん。
にこやかなその顔に珍しく青筋を立てていて冷え切った瞳で私を見ている。
そしてめちゃくちゃ怒っていらっしゃる…
『ゆ、湯飲み、ごめんなさ、』
「いいんですそんな事は、今はあなたの火傷です」
『え、ちょ、』
「片付けはお願いしますね。Aちゃんはこちらに」
しのぶさんは私がぶつかってしまったその子にそう言うと、焦る私の腕を掴むと若干小走りで診察室へと向かった。
ー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 196人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まあり(プロフ) - annkoさん» あああっ貴重な睡眠時間をっ…！？お礼を言っても伝え切れないです…！ありがとうございます！！お仕事、頑張ってください！！ (2021年3月29日 16時) (
レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - あれから睡眠よりも続きを！…と、全て読破させていただきました！午前中の仕事に若干支障が出ています(笑)。でもそれよりも、もうニヤニヤして最高の時間でした…煉獄さん本当にかっこよすぎです！更新楽しみにしています(^^)頑張ってください！ (2021年3月29日 12時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - annkoさん» annkoさんはじめまして！あああっ…お暇がありましたらぜひぜひ読んでみてください！コメントありがとうございます…！嬉しいです！！ (2021年3月29日 7時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - こんばんは！はじめまして！素敵なお話をありがとうございます(^^) 煉獄さん…本当かっこよすぎて！お話の展開もとても好きです(^^)続きを全部一気に読みたいです！更新頑張ってください(^^) (2021年3月28日 23時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - まゆさん» わーーっ！！！嬉しいです！コメありがとうございます！とても励みになります〜！ (2020年12月26日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まあり
| 作成日時：2020年11月29日 19時
