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「ちょっと聞きたい事がある!」
この家での生活に慣れてきた頃。
私が作った昼ご飯を食べ終わり、片付けをしていれば後ろから大きめの声でそう言われた。
びっくりした。
いきなり後ろから大きい声はダメだって。
お皿を落とす所だった…
『どうしたんですか?』
私は驚きを隠しながら、お皿を置いて煉獄さんの方へ振り返る。
どうしたのだろうか。
聞きたい事って。
頭を回転させても、何も思い当たらず首を傾げる。
「胡蝶から聞いたと思うが、Aが良いのならこのままここへいていいのだが!どうだろうか!」
あ、その事か…
何日か経っていて忘れてしまっていた。
そういえばしのぶさんに言われていたのだった。煉獄さんが私の面倒をみてくれるはずだと。
「もちろん胡蝶の所でも良い!Aが決めていいのだぞ!」
煉獄さんは腕を組んでそう言うと、私を真っ直ぐ見つめる。
煉獄さんか、しのぶさん。
私の答えはもう決まっているのだけれど…
どうしよう。
「決められないのならまだ悩んでも…」
『い、や…、そういうわけじゃ、なくて、』
私はこの前しのぶさんから貰ったお下がりの着物をギュッと握ると煉獄さんの言葉を遮る。
『そういう、わけじゃなくて…、』
「言ってみろ、何でも聞いてやる!」
『その……、』
「なんだ?」
言葉に詰まる私を、優しく待ってくれる煉獄さん。
『……えっと、』
「……」
『……、』
「……」
『………………迷惑じゃ、ないですか?』
やっと出た声は小さくて、ここがもし外なら聞こえていないだろう…ってくらいの声。
本当に迷惑ではないのだろうか。
二人とも優しいから、迷惑だなんて言わないだろうけど。不安だ。
だって私は何も返せない。
しのぶさんにはそれでいいと言われたけど、あの時私は煉獄さんに命を救ってもらったようなもの。
それに加えて面倒も見てもらうだなんて。
甘えすぎではないだろうか。
何だかここへ来てから、私が今まで生きてきた場所が夢だったかのように思えてしまう時がある。それくらいこの場所は優しくて。温かくて。私がこんな所にいていいのかと、そう思ってしまう。
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まあり(プロフ) - annkoさん» あああっ貴重な睡眠時間をっ…!?お礼を言っても伝え切れないです…!ありがとうございます!!お仕事、頑張ってください!! (2021年3月29日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - あれから睡眠よりも続きを!…と、全て読破させていただきました!午前中の仕事に若干支障が出ています(笑)。でもそれよりも、もうニヤニヤして最高の時間でした…煉獄さん本当にかっこよすぎです!更新楽しみにしています(^^)頑張ってください! (2021年3月29日 12時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - annkoさん» annkoさんはじめまして!あああっ…お暇がありましたらぜひぜひ読んでみてください!コメントありがとうございます…!嬉しいです!! (2021年3月29日 7時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - こんばんは!はじめまして!素敵なお話をありがとうございます(^^) 煉獄さん…本当かっこよすぎて!お話の展開もとても好きです(^^)続きを全部一気に読みたいです!更新頑張ってください(^^) (2021年3月28日 23時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - まゆさん» わーーっ!!!嬉しいです!コメありがとうございます!とても励みになります〜! (2020年12月26日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2020年11月29日 19時