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初めて彼の家に来た時は、本当に無機質でスタイリッシュな部屋だなって印象だ。観葉植物も無くて貰い物や頂き物をひとつの棚にまとめていて、それ以外は本当に何も無い。
日用品以外は全部配信部屋に置いてあるようなそんなイメージを持ってもらった方が簡単だ。
でも今や、リビングのテレビが飾ってある棚の上に一緒に買ったキャンドル。
クローゼットの一番前には私のライブTシャツをかけていて「たまに部屋着にしてる」とも言っていた。
浴室には私が自分の家で使っているシャンプーと同じブランドのものを「いつでも来れるように」って買い置きしてくれて、彼の私生活にはもう気づいた時には溶け込んでいた。
それは逆もまた然り。
彼がプロデュースしたジャケットやキャップは私の家にもある。最近は飲んでいないらしいプロテインも捨てずにそのままだし、
夜、まだ寝たくない時にやるスマブラもマリオカートのカセットも借りたままそのまま。
私が今着ているスウェットだって、元々は界人くんが私用していた物。
始めてきた時に部屋着がなくて借りてから、来る度これを着させて貰ってて最早私専用とまである。
細切りにした人参や大根をザルに盛った。だんだん飽きてきて一息つこうと小さいパッケージに包まれたチョコレートを口に運んだ。
甘いホワイトチョコレートの香りが口いっぱいに広まった。
石川「あー。」
「あ」
石川「ははは(笑) 逆にバレないと思った?(笑)」
「ふはっ(笑)」
まさか見られていると思わなかったから笑いが込み上げ、耐えきれず吹き出す。
さっきまであんなに真面目に向き合っていたのに、凄い感知力だ。感心する。
「おわった?」
石川「ううんまだ〜。まあでももう終わるしAもチェックあるでしょ?」
「わたしは明日雑誌の撮影だけだし平気だよ」
石川「そーなんだ、え、野菜多くない?」
「お腹空いたから界人くんが食べられなくても私が食べるよ、〆のうどんもあるし」
石川「そんなお腹すいてたんだ?」
「緊張でお昼全然食べれてなかったじゃん」
石川「あー、確かに(笑)」
もう一度包丁を握り、硬い人参を細く細く切り込む。
飽きた界人くんが再びこちらにやってきて私のお腹に手を回した。
「危ないよ」そう言ったけど気にせず、私の首筋に顔を埋めてくる彼が、この時だけはかわいく見えた。
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(名前)(プロフ) - はじめまして。コメント失礼いたします。Twitterにてパスワードを記載していただいてるとのことですが、Twitterの垢がわかりません。教えて頂くことは可能でしょうか? (3月24日 21時) (レス) id: c73f4a9637 (このIDを非表示/違反報告)
にむ(プロフ) - しーさん» 気づくの遅れてすみません🙇🏻♀️Twitterの固ツイにパスワード貼ってるので良かったら🙇🏻♀️ (2月25日 21時) (レス) id: d177642b92 (このIDを非表示/違反報告)
しー(プロフ) - こんばんは、コメント失礼致します。他の作品もぜひ読ませて頂きたいのですが、パスワードをお伺いすることはできますでしょうか、、。 (2月5日 22時) (レス) id: e0d56893a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にむ | 作成日時:2023年12月29日 23時