華 と 花 【成瀬大二郎】

１３．しょっぱい涙 ページ13

.




失恋だった＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿.









二人の会話が終わった後に、何事も無かったかのように上着を取りに行こうとしたけどなるの粋な計らいで



成瀬「これ着てていいよ、俺取ってくるから」



ピンク色のパーカーを着せてくれて、リビングに戻るとすぐ「涙の匂い……？」竜星の鼻の良さに負けてバレてしまった。




「え？いやあくびしただけだよ」

宝「にしては目赤ない？」

巧「……大丈夫？」

「大丈夫！ほら、あす花さんと飲んでたから眠すぎてさ。もう寝ようかな」

有起哉「片付けくらい手伝えよ！！！」




底抜けに優しくて明るいメンバーに元気を貰っても弾の



弾「あんたが好きだ」



私に向けた言葉では無いのは確実なのに、その言葉が耳にこびりついて離れない。苦しい言い訳をした後に、また涙が溢れ出した時に視界が暗くなって

頭の上に誰かの手の感触を感じた。






頭全て覆われてしまったから周りの音も籠って、声も聞き取りにくかったけど






成瀬「眠いならもう寝な？」






それがなるの声だって気づいた瞬間、誰かに頼りたくて、誰かにしがみつきたい、そんな気持ちひとつで






筋肉で締まった細身の身体に抱きついた。






成瀬「A？」






なるは受け入れたように背中に手を回してくれて、「大丈夫大丈夫」って小さな声を耳元でささやいてくれた。






有起哉「んだよ！メンバーに甘えられんじゃんか！何があったかよくわかんねえけどさ、俺らに出来ることあれば全然協力するし！」

栄治「そうだよね。Aも頼っていいんだよ。僕達のこと」






さっきまであす花さんの前で流した涙が、しょっぱい涙に変わった。

１４．Twitter→←１２．失恋

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す