泡沫ロマンチカ (ページ8)

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ふと、目が覚めた。

周りを見るとまだ暗くて、夜であることを確認。

月明かりだけが部屋を照らす。夏だから妙に蒸し暑いけど、きっと北斗が開けてくれたであろう窓から少し涼しい風が入る。

お酒が抜け切ってない頭を一生懸命動かして、さっきまでの事を思い返す。

…えっと北斗と飲んでてそのまま酔っ払って、ここまで送ってもらって。その後…はあんまり覚えてない。

服はさっきのと変わらないまま。

だけどちゃんとベッドの上にはいるし、掛け布団は安定に蹴飛ばしてるけどちゃんといる、って事は北斗が全部してくれたのか。

…これは感謝してもしきれない。ありがとう北斗。

しかし窓…あれ？なんで空いてるんだろ。
北斗が開けてくれた？いやでも、それはないか。

部屋に視線を戻し、まあいっか～閉めたら暑いし、と目を瞑ろうとした瞬間のこと。

ふぁさ、とカーテンを揺らすほどの風が吹いて。

「ねえっ…たすけ、て」

「 ……え？」

誰もいないはずの部屋に声がする。

しかし私は妙に冷静で、いや、多分お酒のせいで頭狂ってるんだろうけど声の方向に目を向けると、

「おっおばけ！！！！！！！！」

「しっ！！！…しずかに、ねえ、ちょっと」

夜中にも関わらず大声を出してしまった。
いや大声を出すのも無理はない。だって、だって、

人間味のない白い陶器肌、血のように赤い唇、
同じく真っ赤な眼光、そして全身黒ずくめ

「夢で見た…、男？」

「たすけ、て、おねえさん、血が… 」

遂に私は頭が狂ってしまったんだろうか。

目の前にいる男を少しずつ受け入れて…はないけど、夢の中の世界と現実が混同してて、えっと、

「ちょっとだけ、我慢して」

「んいっ………たあ、」

首筋から肩にかけて、チクッとした痛み。
これは…え？！あのおばあちゃんが話してた、

「ゔぁんぱい…あ？です…か、」

私はなにを言ってるんだろう。

非現実的すぎるこの状況に、この謎の男に、
「ヴァンパイアですか？」とか平然に聞くなんて。

するとばっと目を見開くその男。
今ちゃんと顔を見たけど…綺麗だなあ、って

あああ、なに言ってんだ私！これは夢か？！
頬をぺしぺし叩くけど、どう頑張っても現実で。

「 …てんし、だ、うんめいだ！！！」

「 …え？」

「あ、えっと、俺と付き合ってください！」

「は？」

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