泡沫ロマンチカ (ページ7)

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「えっ…は、お前泣いてんの」

「なっ泣いてない！気のせい、あー店員さんもういっぱ… 」

「馬鹿！もうやめとけ、ほら帰るよ」

北斗の大きな手が顔を覆い親指が目元を掬う。

あたたかい指の感触に更に涙が出そうになるけど、
なんとなく泣きたくはなくて堪える。

肩を持つ北斗に頭を寄せて、お酒のせいで手放しそうな意識をなんとか保つ。

いつの間にかお会計も終わらせていたみたいで、
ご馳走様です、と頭を下げれば今度なんか奢れよ、と肩をぽんぽんと叩かれる。

「ほーら、もうすぐだからちゃんと歩いて」

「んん…ほくと、」

なあによ、と少し笑う北斗。その記憶を最後に、駅周辺を歩いている間少し意識を失っていたようで。

気付けば北斗の上におんぶされてた。

「ねえ…ほくと、」

「あ、おまっ、やっと起きた」

「 …ふへへ、ありがと、送ってくれて」

「いいから、ほら鍵出して？」

鞄の中を手探りで鍵を探し出して北斗に渡せば、器用な手つきで開けてくれて。

…なんでこんな時ばっかり優しいのかね、北斗は。
そんな事言ったらいつもだろって言うんだろうけど。

入るぞー、なんてこちらをちらっと見ながら言うからこくこくと小さく縦に首を振る。

「あーえっとあれ、俺よくわかんねえけど」

「ほら、化粧だけは落とせ」

「 …ん」

ほぼほぼ意識が無いまま返事をすると声が聞こえなかったようで、そのまま北斗の独り言(のように話しかけられてる)だけが部屋に響いて。

「 …って、聞こえてねえじゃん」

「んあー！もうわかったよ、どこ？これ？」

薄ら意識の中でがさがさと音がしたかと思うと、
なにやら北斗がメイク落としやらを持ってきてくれたみたいで。何この子、めっちゃ優しいじゃん。

なんて考える余裕も無く意識を手放しかける。

「起きたらちゃんと風呂入れよ、」

「 …んぁい、」

「ん、じゃあ帰るからな。鍵は自分で閉めろよ？」

「んー、」

そのあとおやすみ、なんて声が聞こえたような気がしたけどその直前に意識を飛ばした。

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「泣くぐらいなら…好きになんなきゃいいのに」

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