002 ページ2
・
「 っ！はぁっ… 」
先程の真っ暗闇は何処へやら、目の前には真っ白な天井に薄明るいカーテン越しの陽射し。
朝だ。さっきの謎の男と魔界？は…夢、か。
ほっと胸を撫で下ろす。AM07:28。
アラームが鳴る二分前。ナイスタイミング、私。
しっかしどんな夢だよ…魔界、なんて。
やっぱり夢じゃんか。オカルト好きのおばあちゃんが言ってた話のひとつやふたつ、信じなきゃ良かった。
朝食を用意して、ほんのり焼き目のついた食パンを頬張りながら着々と大学へ行く準備を進める。
いつもの時間に北斗が来るからそれまでには。
北斗が来る時間の一時間前、服を着替えてメイク。
北斗は幼馴染。幼稚園から大学まで一緒、という腐れ縁の代名詞な男。ちょっとウザくて陰キャだけど良いヤツ。
あっ…前髪失敗した。ついてないなあ、今日。
因みにアイラインも失敗したので今日の顔面は０点。
笑われちゃう、普通の顔しててもイジられるのに。
…まあ、慣れっこだからいいし？北斗になんて言われようと別にね、もうノーダメージですよ。
ピコン、と携帯に表示された通知。
北斗：今日樹も一緒に行きたいって。良い？
は？え、なんで。なんでこんな日に限って。
なんでよりによって前髪もアイラインも失敗した日に朝から樹くんと会わないといけないの…？！
樹くん、というのは私の好きな人。
北斗の親友らしいけど、北斗とは違って明るくて優しくていかにも女の子慣れしてそうなチャラめの子。
樹くんは高校からの同級生。
あんなチャラいのどこがいいの？と友達のアヤメちゃんに聞かれたけど、本当は凄く優しくてちょっと可愛いところがあるのを知ってるから好きなんだよ。
…なんて事は今はどうでもよくて。
“ なんで今日なの？！” と急いで送り返せば
すぐに既読がついた。
北斗：え、だめなの？
だめだよ！全然ダメ！！100％ダメ！
こんなだらしないところ樹くんに見られたら…
「 今日Aちゃんおかしくない？」
とか言って北斗と一緒に笑われちゃう。絶対にヤダ。
“ 前髪とアイライン失敗した ” と送れば
北斗：大丈夫でしょ。もうすぐ着くよ
北斗：スタンプが送信されました。
ドンマイTV！とよくわからないスタンプ。
…コイツに恋人がいない理由がわかった気がした。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 211人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴあまる | 作成日時：2020年8月12日 4時
