Candy Box (ページ5)

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『…え、ソユンちゃん？かわいいもんね…』

『目の前にいるよ』

『…………え！』

『好きじゃない子に、教えてあげようなんて思わないよ』

『…うそ』

『うそじゃない』

ピタリと歩みを止めたわたしに、テミンくんも遅れて足を止める。

夕日が後ろからテミンくんを照らしてよく表情は見えないけど、きっと今笑ってる。そんな気がする。

『…あ、のね、わたしも…好き…』

夢かな。夢じゃなかったらいいな。
だけど、胸が痛いからきっと夢じゃない。

鼻の奥がツンと痛いから夢じゃない。

『A、お昼食べよ』

『…テミンくん！』

『…え？A…どういうこと…？』

もしかすると昨日のは本当に夢なんじゃないかってくらい、次の日の生活は普通のものだった。

実感の湧かないままにソユンちゃんとお弁当を広げていたときのこと。
ふと誰かが横に立った気がして顔を上げれば、テミンくんが眠そうに立っていた。

『…あ、実は…』

不思議そうなソユンちゃんに、なんて言えばいいんだろう。付き合ってる…の？いやいや、付き合おうなんて言われてないし…

友達…？わざわざお昼誘ってくれるのに…？
あれ？わたしたちって…、なに？

『言ってないの？付き合ってるって』

『えええええっ！！！！ほんと？！』

『…あ、うん…』

‘付き合ってる’

…そっか。
そうなんだ。

…うわあ。やばい、やばいよ。

『…でもソユンちゃん…』

『わたしは気にしなくていいから、早く行っといで！！』

『ありがとう…！』

テミンくんについて歩く廊下が、いつもと同じはずなのに

わたしには少し、輝いて見えた。