Candy Box (ページ3)

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『ええ…なにこれ…』

『ここ、長さだせるでしょ？長さ３つとも出せたら、角度だせるじゃん』

『…あー、なるほど！』

静かな放課後の食堂で、テミンくんと2人、向かい合って座ってる。

パックジュースを飲みながら教えてくれるテミンくんは、嫌な顔ひとつしないで丁寧に教えてくれていた。

『Aちゃん、ほとんど普通に解けるよね』

『え、解けてない解けてない』

『んーん、やばい子は何回言っても分かんないっていうよ』

『へー…、テミンくん教えるのうまいんだね』

『部活の子に頼まれるからたまに』

聞いて少し、後悔する。

テミンくんの部活には、男の子はテミンくん以外に2人しかいないことを知っているから。

それに、その2人は勉強が出来るってことも。

付き合ってるのかな、その子と。
なんて。笑いながら話すテミンくんに胸がざわつく。

『Aちゃん…？』

『…あ、ミノ先輩！』

振り返れば、サッカー部のエースのミノ先輩がいた。わたしが先輩と知り合いな理由は、わたしがサッカー部のマネージャーだから。

なにの部活に入ろうか悩んでいた時、ミノ先輩に一目惚れしたという友達、ソユンちゃんにお願いされ一緒に入部。

数ヶ月前にソユンちゃんはその恋を実らせている。…羨ましい。ただ、その一言で。

わたしの好きな人を知る先輩は、ニヤニヤと笑っているから、目でやめるように念を送ってやった。

『部活、終わったんですか？』

友達にテミンくんに誘われたと相談しに行けば、そんなの部活休んででも行きなさい！と背中を押され今日の部活は休ませてもらったのだ。

『いや、いま休憩ー。あ、そうだ。体操服のジャージ返したいんだけど…明日の方がいい？』

『あー、別に急がないからなあ…』

『はは、じゃあ早く退散しまーす』

『ミノ先輩！』

またニヤニヤと笑い、先輩は食堂を後にした。

やめてよ、バレちゃうじゃん。

少し気まずいままに再びテミンくんと向かい合えば、頬杖をついたテミンくんはじっとこちらを見ていた。

『…て、みんくん？』

まっすぐな瞳に見つめられて、どうしたらいいのかわからない。