20.やっぱりそこにいた ページ22
3階の隅っこに、その音楽室はあった。
ゆっくりとドアを開けたら、中にいるめいちゃんがこっちに気づいて嬉しそうな顔をする。
咄嗟になるせくんを見ると、同じように嬉しそうな顔。
いるだけで幸せにできるってなんかずるい。私だってなるせくんを支えられる人になりたい。
勝手に闘争心を燃やしていると、めいちゃんが私の方に歩いてくる。
やっぱり、当たり前のようにめいちゃんはそこにいたんだ。
｢A、やっぱりなるせのお気に入りじゃん。よかったね｣
｢はあ？｣
｢ここに出入りできるのは俺とあらきの他に、まふまふそらるセンラ天月とかだけだよ。女子なんてひとりもいない｣
小声でこそこそ耳打ち。
真冬くんって、7組の？透明感すごすぎてクリアファイル見たいって言われてる。一ノ瀬くんは私たちと同じクラスの人で、1個年上の留学組。普通科の子たちに特進のプリンスって呼ばれてるのも知ってる。
センラくんは8組の、なぜか関西弁を喋る人。見た目がホストみたいってよく言われてる。天月くんはまさに少年、って感じのいい声してる子だよね？たしか、10組だったはず。
それぞれたまーに、うちのクラスに顔を出すから。めいちゃんなんかは棟も違うのにうちの教室によく入り浸ってる。
｢思ったよりたくさん来るんだな……あらきさんとめいちゃんだけかと｣
｢なるせは自分で思ってるよりずっと周りに大切にされてるよ｣
｢……そうだね。私もそう思う｣
気づいていないのか、気づかないフリをした方が楽なのか。
分からないけど、あまり自覚してないよね。
よくしてくれた、とは思ってるみたいだけど。みんなが感じてるのは、きっとそれ以上だよ。
｢なに話してんの？ほら、なるせがあれミックスしてくれるって｣
｢え、まじで？！あざ！｣
｢軽いなおまえ｣
みっくす？って、なんだ。音楽の話？
ぜんぜん、まーったく知らない世界だから何の事だかさっぱり。
私が首を傾げていたら、あらきさんがこっちを見てニーッと笑った。
｢ミックスってのは、サウンドの音量とか音色とかをコントロールしてきれいに馴染ませる工程のことっすよ｣
丁寧にご説明いただきありがとうございます。なるほど、それをなるせくんがやるのね？
もしかしたらなるせくんてすごい才能の持ち主なのでは。
｢ちげえわ！慣れたら誰でもできるようになるもんなの！めいちゃんは始めたばっかだから代わりに俺がやってるだけ！｣
なるせくんが急に吠えた。
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かとを74(プロフ) - 私 専用 誘拐犯の続編も気になりますし、正直この作品も素敵なのでっ続けてほしいです。 (4月5日 17時) (
レス) @page23 id: e7ab028975 (このIDを非表示/違反報告)
h - もし良ければこのお話を続けて頂きたいです (4月4日 2時) (レス) @page23 id: 721a3011a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鏡花 | 作成日時：2024年2月10日 11時
