17.浦島太郎のお話 ページ19
｢まず、ホオリが浦島太郎だと仮説して。乙姫がトヨタマヒメね｣
｢うん｣
｢ホオリは兄の大事にしていた釣り針を海に落としてしまう。激怒した兄は釣り針を探し出してこいと言った。ホオリは竹の籠に乗って、海へと漕ぎ出す。亀じゃなくて｣
｢亀じゃないの……｣
｢そしてたどり着いたのは海底都市。そこでトヨタマヒメに出会う。所謂一目惚れ。ホオリは当初の目的を忘れてトヨタマヒメのお父さんに娘さんを僕にください！って言いに行く｣
｢はあ？なにそれ｣
｢意味わかんないよね？なぜか父親にはOKされるし、そのまま3年そこで過ごすし｣
｢お兄ちゃんの釣り針はどこに……｣
｢3年経ったあと、ようやく思い出す。トヨタマヒメのお父さんに説明したら、なんと釣り針を見つけ出してくれた。当初の目的が果たせたということでトヨタマヒメと一緒に地上へ戻る｣
いい加減すぎるでしょう、ってつい口から本音が。
でも神話に出てくる神様たちって大体こんなもんだよってなるせくんが言う。
うそ！どんだけ大雑把な生き方してるの！
思わず大きな声。なるせくんが心から楽しそうに笑い声をあげた。
｢その後は、なんとトヨタマヒメに子どもができる。ホオリは喜んで彼女のために産屋を作った。その時にヒメは決して中を見ないでくださいと言った｣
｢なんだか鶴の恩返しのような……｣
｢どうやらそこも繋がりがあるらしい。で、そう言われて見ない奴なんていないだろ？ホオリは産屋の中を覗き見てしまった｣
｢うわあ｣
｢そして、ここからが本題｣
なるせくんが楽しそうに笑う。
｢そこにいたのは姫ではなく、牙をむき出しにして暴れるサメの姿だった。乙姫は実はサメだったってこと｣
｢ええ！そんな！……なんでサメ？｣
｢そもそもサメと人は共通祖先から分岐したっていう説があるんだよね。実際にケンブリッジ大とかが論文出してて｣
｢え、そうなんだ！知らなかった！｣
｢神話ってこういう科学的な部分もたくさんあるよ｣
｢すごー！｣
素直にそう言ったら、なるせくんが嬉しそうに目尻を下げてこっちを見た。
ああ、普段こういう話する相手いないのかな。
めいちゃんは興味なさそうだもんね。
よもつひらさか？なにそれ？三途の川と同じようなもんって、じゃあそれでよくない？
って、言いそう。
こういう話をワクワクしながら聞ける子って、なかなかいないのかな。
なるせくんの周りの女の子にも？
そう思ったら、なんだか。もうちょっと頑張れる気がした。
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かとを74(プロフ) - 私 専用 誘拐犯の続編も気になりますし、正直この作品も素敵なのでっ続けてほしいです。 (4月5日 17時) (
レス) @page23 id: e7ab028975 (このIDを非表示/違反報告)
h - もし良ければこのお話を続けて頂きたいです (4月4日 2時) (レス) @page23 id: 721a3011a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鏡花 | 作成日時：2024年2月10日 11時
